【アルバイト】障がい児支援のアルバイトから興味の探求へ

アルバイト

今回の先輩大図鑑は、津田塾大学学芸学部多文化・国際協力学科2年の実美さん。

実美さんは、大学1年生の時に、障がい児のための学童でアルバイトを始めました。そこから障がい児支援に関心を持ち、現在も支援員として障がいのある子どもたちの支援を行なっています。

アルバイトからどのように興味に繋がっていったのか、アルバイトを通して学んだことなどを話してもらいました。

自分の興味関心を探している方、支援活動に興味のある方、アルバイトを探している方などは必見です!

アルバイトとの出会い

ー実美さんは、具体的に何をやっていて、なんでこのアルバイトを選んだの?

 放課後等デイサービスっていう小学生から高校生までの障がいのある子たちが通う学童で、支援員として働いてる。大学1年生の6月から始めたよ。

ちゃんとした理由があったわけじゃなくて、たまたま見つけたんだ

はじめから障がいのある子たちに興味があったわけじゃない。自分と障がいのある子との接点を思い返してみると、小さい頃に、知り合いに障がいのある子がいたり、小学校の時に支援級があったぐらいかな。

小学生の時は、障がいを抱える子とも普通に友達になりたいなと思ってたけど、中学に入ってからは、中高一貫校だったこともあって、関わりは全然なかった。

大学に入ってから、バイトを探している時にたまたま放課後等デイサービスっていうところを見つけたんだ。始めは、放課後等デイサービスが何かもわからなかった。

調べてみたら、障がいのある子たちの学童ですって書いてあって、それで小学生の時の自分の経験や記憶を少し思い出した。それでなんとなく応募したんだ。

▲子供とのんびり関わっている様子

 

アルバイトから興味関心へ

ある男の子との出会い

ーアルバイトが自分の興味と結びつくって珍しいと思うけど、実美さんはどうやって結びついていったの?

 さっきも言ったように、最初から障がい児支援に興味があって、このバイトを始めたわけじゃないんだ。バイトを始めて、そこで出会った子にすごく影響を受けた。

自閉症の男の子で無発語(意味のある単語を話すのが難しい)の子だったんだけど、関わってく中で、その子からいろんなことを学んだ。

コミュニケーションの方法って言葉以外にも、サインとか表情とか色々ある。言葉がなくてもこんなにコミュニケーションが取れるんだとか、言葉でも、伝え方とか、声の掛け方でちゃんとコミュニケーション取れるってことをその子から学んだよ。

サイン(簡単な手話のようなもの)も、向こうが出してくれるサインをこっちがわからないと受け止めきれなくて、この子と意思疎通するには、このサインを無駄にしちゃいけないって強く思わされた。

表情1個読み取るにしろ、サイン1個読み取るにしろ、どういう気持ちでその子がこういうことをしているのかを考えるようになった。

言葉はないけど、地域の子たち、他の子たちと遊びたいという気持ちも強い子だったから、どういう風に地域の子たちと障がいのある子たちをつなげていくかみたいなことも考えさせられた

大切にしていること

ー障がい児支援を行う上で大切にしていることはある?

子どもたちのできることを奪わないこと。その子たち自身でできることでも、私たち職員に代わりにやってほしいとアピールしてくる子が多いんだ。

例えば、自分でできるのに服とか靴を履かせてと言ってきたり。だけど、自分でやってもらうようにしてる。小中高の12年間って人生で見たら短いけど、人生の中で土台になっていく部分だと思っていて。

そこに関われるのは魅力的だけど、同時に責任のあることだなと思ってる。一般的に、できないことがあったら、助けてあげようって言われてるけど、そうじゃない視点もある。

何でもかんでもやってあげることが逆に将来マイナスに響いていくこともあるんじゃないかな。

冷たい感じに聞こえるかもしれないけど、できることはやってもらうようにしてる。これからを見据えた支援というのが大切だと思っているよ

 

もう1つは子供たちがどんなことを考えているか想像すること。子供たちが見てる世界と私が見てる世界は違うなって思うことも結構あるんだ。

だけど、そこで違うと思うだけじゃなくて、どんなことを考えているんだろって想像する必要があると思う。例えば、誰かが、怒り出したり、いたずらしたりしたら背景にどういうことがあるのかを考えてみるとか。

表面的に見過ぎないようにしてる。一人一人に世界があって、そこに入り込むじゃないけど、一旦立ち止まって考えてみることは大切なことだと思う

▲夏休みのお散歩にて

変化と学び

内面的にどう変わったか・学んだこと

最初は、そういう障がいのある子たちとどうやって関わるんだろうって思ってた。

どうやってコミュニケーション取るんだろうとか、取れないんじゃないかって思ってたけど、この仕事をしてから、全然そんなことはなくて、普通にコミュニケーション取れるってことを気づかされた。

いろんなコミュニケーションの手法があるし、雰囲気、空気を感じ取ってる子達だから、こっちが伝えようとしてること、伝えたいことも感じ取って受け取ってくれるし、逆に自分がこうしたいと思っていることも頑張って伝えようとしてくれてるなと思った。

「みんな同じでみんな違う」

あとは、この仕事してから結局みんな同じだしみんな違うってことを、すごく感じるようになった。

障がい者って言っても、いろんな色が混ざっていて、みんなそれぞれ違う。いろんな人がいるのに、障がい者として一括りにされてしまうんだよね。

でもそんな単純なものじゃなくて。重度とか軽度とかってあるけど、重度でも自分のことがたくさんできる子もいるし、軽度でも意外と支援が必要な子もいる。

いろんな人がいて、いろんな考えをそれぞれが持っている。その子をその子としてみるって当たり前だけどすごく大切なことだと思う。人それぞれ違って当たり前だなって本当に心の底から思ったのは、この仕事してから。

でも結局みんな同じだなって感じることもすごくあった。障がいを持っている子がメディアに取り上げられる時、だいたい才能のある子とかが、神様からのギフトみたいな感じで紹介されることが多いんだよね。

だけど、それって私たちに何か得意なことがあるのと同じこと。そんな綺麗事で済ませられるような話じゃないし、それはそれで違った偏見も出てきちゃうと思うんだよね。私たちは生きづらさを抱えてないのが当たり前と思ってる。

でもそうじゃなくて、どんな人でもある程度生きづらさを抱えている。障がいを持っているから生きづらさを抱えているわけじゃなくて、誰でも持ってると思うんだ。

変な意味で特別視しすぎるんじゃなくて、こういう人もいるよね、こういうこともあるよねっていう感じ。

 

ー障がいを持っている子たちは特にそういう描かれ方をされやすいんだって思った。偏見はどうやってなくしていったらいいんだろう?なくすことはできるのかな?

偏見のもとにあるのは知らないということ。知らないことに対して恐怖心を持つのは当たり前。みんな偏見や、偏見とまでいかなくても恐怖心みたいなものとか、そういう気持ちを持っていて全然おかしくないと思う。

逆に偏見がないと言っている人の方が本当かなって思っちゃう。みんながみんな障がいのある子たちと触れ合うことってないと思うし、どう触れ合ったらいいのかもわからないと思う。

偏見がなくなる日が来るのかはわからないけど、自分が持ってる偏見に気づくことが大事。それに気づいて、みんなが話し合えるような世の中、空気になったら嬉しいなって思う。

▲クリスマス会の時の写真

「チャンスは日常に」

ー自分の興味を探している子や見つかっていない学生に何か伝えたいこと、メッセージお願いします!

今は障がいっていう分野にいるけど、今このアルバイトを通して考えていること、学んでいることは、意外と他の場面でも役立つと思っている。

1つの分野について深く考える経験をすることで、それが自分の核となる考え方になっていくというかアルバイト1個にしても、そこからいろんなことを考えるきっかけ、チャンスは誰にでも転がっている。

たかがアルバイトだけど、されどアルバイト。どういう職業でも、そういう深い気づきはあると思うし、いっぱい気づいたら、気づいたもの勝ちだと思うんだ気づいたら気づいたほど考えるチャンスが生まれる。

大変でも、面白さみたいのが1つでもあれば、続けていけると思うし。大学生活っていうと、大学のことばかり考えがちだけど、サークルとか、アルバイトとか、そういうものでも、真剣に向き合っていけば見えるものがあると思う。チャンスは意外と日常生活転がっている。

ただ、その気づきを無駄にしないためにも、自分もアンテナ張ってる必要がある。

最初からやりたいことがある人の方が少ないと思う。最初はやりたいという思いをもって始めたわけではなくても、やり続けていたら自然とやりたいことに繋がっていた。

やっていたら意外と楽しいじゃんってところから、深くまで入っていった。やってみるかーぐらいの気持ちでいい。自分でもこんなになると思ってなかった。

自分で1年の時にこのバイト始めてなかったら、今とは全く違ったと思う。やってみたらハマっちゃった。そういうこともあるんだよっていうのが伝わればいいかなって。

 

実美さんのお話、いかがだったでしょうか。自分の身の回りにあることから、様々なことについて考えているのが伝わってきました。

自分の興味を探している人にとっても、障がい者支援に興味がある方にとっても面白い記事になったんではないでしょうか。

この記事が、みなさんの「手がかり」となりますように。

writer: 零

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