自分の可能性の広がりから、人の可能性を広げる未来へ

課外活動

今回の先輩大図鑑は、早稲田大学法学部4年の西山明紀子さん(以下、Nishiさん)。

中高一貫校という狭いコミュニティを離れ、多様な価値観を知るために大学に進学したNishiさん。

中高では周りの価値観に合わせて勉強や部活をしていたと語るNishiさんですが、大学ではボランティアサークルの代表や学生団体の主要メンバーとして積極的に活躍しています。

大学生活では、なぜ主体的に行動できるようになったのか。

その行動力の源泉に迫りました。

夢の断念_「より多くの人を救いたい」

ーNishiさんは、どうして法学部に進学したんですか?

もともと弁護士志望だったからです!

中学校のときにあった英語ディスカッションの時間に、友達から相手が言うことを予測したり、論理的に返したりするのが得意だよねって友達に言われて。それから、弁護士って割とそういう仕事だし、面白そうじゃない?っていう話になったことが弁護士志望のきっかけでした。

それと、人のために何かすることが好きなので、弁護士ってなんとなく面白そうだなって思って。

 

ー今も弁護士を目指して勉強に励んでいるのですか?

いや、弁護士は1年の終わりくらいには断念しました。

理由は3つあって、1つは、弁護士って救える範囲が狭いのかもなって思って。

弁護士って立派な職業だけど、あくまでも個人の考えでは、弁護士になって直接救える人は、目の前の人とその家族、知人ぐらいで、相当大きな案件とかしない限りは多くの人の助けにならないのかもって思ってて。たぶん、承認欲求が強いから、自分にできるだけ大きな介在価値を見い出したいんだと思います(笑)

 

2つ目の理由は、もうそんなに勉強したくないと思って(笑)

私は中学受験のために、小学校高学年から勉強してて、中学も部活してたから、基本は勉強か部活をしてた。大学受験も高校入ってから始めたし。だから感覚で言うと、もう10年以上ずっと勉強していて、だから大学に入ったら、遊んだり、課外活動とかしてみたいなって思ってたんです。

 

最後の理由は、既存の仕事をするより小さくても良いから自分なりに世の中に新たな価値を生み出したいというのがあります。それが何なのか、どうやるのかは今も模索中ですが(笑)、社会の中でもまれて見つけたいと思っています。

こういう理由で、弁護士はやめて普通に就職しようって思いました。

14年続くサークルの解散_有限な時間を有意義に過ごすために

ー具体的に課外活動って何をしていたんですか?

1つはボランティアサークルで活動していました。

もともとボランティアは、大学時代に絶対にやりたいことの1つとしてあったんです。大学生は比較的お金と時間に余裕があるから、大学生のうちにお金や時間を人のために使いたいなって思っていて。

具体的には、離島にいって、島民の方との地域行事を通じた交流や小中学生の子供たちに授業をするサークルに所属していました。

最初はすごく楽しかったんですけど、2年生のときに代表になって、最後の方はかなり大変でした。

結論からいうと、私はそのサークルを閉じてしまったんです。

私が代表になるずっと前から、島の一部の人たちと私たち大学生との関係がうまくいってなかったんです。っていうのも、島の人には、島の問題は島のなかで解決したいっていう性格があって。だから私たちが明確な活動意義を提示していなかったことも要因ですが、島民の方の中には、押しかけて来た私たちのことをあまり快く思ってない方もいました。

代表になったら、そのギクシャクした関係を終わりにしたいって思ってたんです。ボランティアって相互理解がないとできないから相互理解がない場所でボランティアやっているのは意味がない、どうせやるならそこをどうにかしたいって。

そんな思いで色んな工夫をして、島民の方にも大方好評だったんですけど、やはり一部の方はあまりよく思ってないなっていうのが伝わってきました。

そのこと自体も、私たち自身がそれをずっとストレスに感じていることも問題だし、大変ってわかっていることを後輩に引き継ぐのが無責任だなって感じていたから、まずこの島にいくことは一旦やめてみようと話しました。

そこから次何する?っていう話になったんですけど、そんな状態だったから、メンバーみんなモチベーションが下がっていたのと、みんななんとなく大学入ってボランティアやりたいっていうので入ってきたから、次の案がなかなか出なくて、こんな感じなら時間がもったいないし、みんなそれぞれの大学生活あるし、やめようっていうことでサークルを閉じる決断をしました。

あとは、ボランティア先の知り合いの人に、「ボランティアって、する側も幸せじゃないとはできない」って言われたことも決断の後押しになりました。相互理解が不十分ななかでボランティアをしても、こちらも100%発揮できないし、相手も良く思わないので。

 

ーサークルを閉じることには、かなり勇気が必要だったのではないでしょうか。

その決断までは本当に大変でした。私はとても気が弱いから、毎週ミーティングの日にはご飯が食べれないくらいストレスで、そのぐらいだったから先輩にもそこまで無理する必要ないよって言われて、やめる決断ができたんですけど、まあ大変でしたね。

そのときは、この決断で本当に良かったのか思い詰めてしまうこともあったけれど、サークルを閉じてからも当時のメンバーが事あるごとにメッセージをくれたりしたこともあって、今はそれぞれのメンバーの人生があるし、無駄な時間を過ごさせなくてよかったなって吹っ切れました。

人の思いに向き合って、実現の後押しがしたい

ー他にも何か課外活動をやられていたんですか?

もう1つは、できること会議という団体で、今も活動しています。

できること会議では、社会問題についてさまざまな地域・年齢の人とオンラインで議論して、私たちが社会に対してできることは何かを考えたり、具体的にプロジェクトを生んだりしています。4月からも、何かしたいという漠然とした思いがある参加者の方の思いを具現化する支援をする「できることプロジェクト」を実施する予定です!

ーどうしてできること会議に入ったんですか?

私は大学で社会問題について問題意識をもって調べて議論するゼミに入っています。

ゼミだから、そもそも社会問題に興味がある人が集まっていて、議論が盛り上がるから面白いんですけど、ゼミだけで閉じていることってすごく勿体無いなって感じていて。

そうやって社会について考えることってものすごく意義があることだから、もっといろんな人と話す機会があれば良いのにって思っていたところ、大学の先輩にできること会議っていうのがあるよって教えてもらって、1回イベントに参加したんです。はじめましての人と意見を交わすことが新鮮でしたし、これまで持ってなかった角度の意見を知ることが出来てとても意義深いなと感じました。

そしてそのときちょうどメンバーを募集してたから、やっちゃえ!と思って入りました。

できること会議に入ったことは、自分の人生に大きな影響を与えたと思っています。


▲できること会議のメンバー。

ーそれはどうしてですか?

できること会議ってすごく面白いな、こういうことを仕事にできたら良いな、なんて思っているんです。

できること会議では、参加者の方と一緒に一からプロジェクトをつくっていくことがあるんですけど(できることプロジェクト)、参加者さんの性格や適正などを考えて提案することで、その人たちの可能性が無限に広がっていくなって感じていて、人の可能性を広げるサポートをすることに強い達成感を感じるし、多分将来自分はそういうことがやりたいんだろうなって思うようになりました。

ー人の可能性を広げるってかなり難しそうですね。

そうですね。

人の可能性の広げ方にも色々あると思うのですが、私は自分の経験から学んだことや、やっていくうちに学んだことを生かすようにしています。

 

ーどんな経験が糧になっていると思いますか?

もともととても負けず嫌いで、幼いころは見えないところで少し努力すれば、何においても人よりうまくできる感覚がありました。でも、中高一貫校を受験してからは優秀な友人に囲まれたことで、人より物事がうまくいくという経験が少なくなっていきました。そんななかで、負けず嫌いから見栄を張るようになっていたことで、「周りから見る自分」が「自分の思う自分」より大きくなってしまい、上手くいかないと感じるようになっていた自分との乖離を感じるようになりました。今振り返ると、学力など人からの定量的な評価を気にした結果、解離を感じるようになり、そこにすごくストレスを感じていたと思います。

 

でも、大学に入って定性的な部分、自分の性格的な部分とか団体における強みを評価されるようになって、それってすごく良いな、生きやすいなって思って、そういう定性部分の評価をされるとかなり人の可能性ってかなり広がるなっていうのを感じています。

定性的な部分が評価されることによって自信が出てきて、自分が本当にしたいことが何かということに真剣に向き合えるようになりましたそれまでは、どこか周りに合わせていたから自分の思いと向き合おうともしていなかったと思います。自分に向き合うようになって、少しずつやりたいことを実現していって、多くのことを学びました。そうすると、自分の成長を感じるし、理想の自分に少しは近づけているのではないかと感じるようになってきました。今思うと自分の思いと向き合えたのは、周りに意思を尊重し、肯定してくれる人がいたからです。

 

そこでこういう思いを尊重してくれる人がいれば、他の人も意思を貫いくことができて社会もより良いものとなるのではないかと感じはじめていたと、今になって思います。

そう思うようになってから、できること会議に出会って、世の中には思いを持っているけど、行動に移せていない人がたくさんいると知りました。そういう人たちの実現したい思いを聞き、尊重しながら具現化の道を一緒に探り、一歩踏み出す後押しをしたときにとてもやりがいを感じました。これによって思いを持つ人が実現に動き出すには、その思いに真剣に向き合ってくれる人が必要ということが確信に変わりましたし、思いに向き合い、後押しする役割をこれからも担っていきたいと考えるようになりました。

▲できること会議のミーティングでの1枚

行動力のヒント_自分の正解を探す面白さ

ーご自身の大学生活を振り返って、やってよかったなって思うこととかありますか?

思ったより行動的に動けたことはよかったですね。

高校までは勉強も言われるがままというか、みんながやる勉強をして部活もしてって感じだったけど、大学にきていろんなことをして価値観が広がったし、大学以降は評価が画一的でないから、絶対的な正解がないということに気づいて、その正解を自分で探す作業っていうのが面白いっていうことに気づけました。色々なことをやってみて、自分の性格とか好きなこととかを少しずつ理解することって面白いなと思ったり、活動していくなかで自分のなかの正解を見つけていくのが面白いなと思って。

そこで誰かが持っている基準とかみんなが良いっていうものにしがみつくことは、あまり意味がないっていうことに気づけたっていうことは結構大きいですね。それは、就活にも繋がっていて、みんなが良いと思う大企業に行きたいとかは全くないですね。

 

ーかっこいい。

自分にとってそうでもないって思うことをやってても意外とみんなからすごいねって言われたりして、っていうことはみんなの評価って誰基準?って思うことがあって、そういう意味で人の評価ってあまり根拠がないっていうか、別にそこにそんなに絶対的なものを見出す必要はないんだなって思ったから、やりたいことと向き合って楽しみながら成長できればそれで良いかなって思っています。

 

ー最後に、これから大学生になる後輩たち、学年が上がる後輩たちに向けてメッセージをお願いします。

高校までと違うのは、正解がないっていうことな気がしていて、高校までの学力とか画一的なもので判断されている時は、正解ありきで、そこに行かなきゃ正解じゃなくて、そうじゃないやり方をしてもそうじゃないところにいきついても間違いっていうことはなくなっていて。でも意外と正解がないってことに気づかない。

でも正解はないと感じるので、今まで間違っていると思ったことも全然やって欲しいし、色々行動してみて自分が楽しいなとかしっくりくるなって思えるものが自分にとっての正解になっていって、それが将来に繋がっていたり、繋がらなくても自分のスキルになっていったりするから、行動してみるっていうのはすごく良いことだと思います。色々コミュニティに属しても良いし、何かをしてみても良いし、なんでもやってみてほしいなっていうのがありますね。

 

ー行動力って一番難しいですよね。

高校までのわかりやすく絶対的な正解があったときは、言われたことをとりあえずやっていれば正解に80%くらい近づいてきて、あとちょっとの努力で100%に近づくみたいなことが多かったから、なあなあで生きていてもそんなに間違いじゃない、受動的な生活でも一定の成果を残すことも出来るっていう感じだったけど、受動的に生きていると、何も進展しない、何も得られないっていうのが大学以降な気がするから、何か行動した方が良いよっていうか、厳しめにいうなら行動しないと何も得られないよってそういう気はしています。ぜひ頑張ってみてください!

さまざまな価値観を知るために入った大学。

ボランティアサークル、できること会議などに所属したニシさんですが、1つ1つの出会いや経験から多くのことを吸収し、自分と向き合い、次に生かす姿勢がとても素敵ですね!

これから大学で出会うさまざまな価値観、人、経験から多くのことを学びとっていきましょう!

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