海外インターンシップでの経験や、現在の学生生活まで幅広く語ってくれたのは、大学3年生のありさんです。ありささんは大学に入学後、様々な活動に積極的に参加し、国際部やゲストハウス運営サークル、そして国際寮の運営スタッフを務める中で、なぜ海外インターンシップという選択をとったのでしょうか?
現在就活生として多忙な生活を送る中で、学生生活で大切にするべき彼女なりの”本質的な学び”とは何か、スリランカでの経験をもとに語っていただきました。
なぜ海外?なぜ海外でインターンシップ?
ーありささんは大学入学当初から国際交流などの活動に興味を持って参加していたそうですが、何かきっかけはありますか?
入学当初は、大学では高校生の時に叶えられなかったことに挑戦してみたいという思いを強く持っていて「絶対に留学したい!!」と考えていましたね。
自分は、みんながイメージするようないわゆる”グローバル”な人になりたいという憧れを抱いていて(笑)その漠然とした思いがあったから、大学では国際交流の団体に所属したり、言語交換イベントにも参加したりしていました。
ーなるほど、高校時代に描いていた夢を叶えるために、大学入学後から積極的に活動していこうという思いを抱いていたのですね。「留学に行きたい」という考えから、どのようにして海外インターンシップを選択するに至ったのでしょうか?
「留学に行きたい」と強く思っていたので、大学1年生の夏休みに短期留学を検討し始めました。
でも、大学のプログラムでの留学にかかる費用を調べると、自分にとっては費用が高いと感じてしまって。自分は当時一人暮らしをしていたのでアルバイトのお金は生活費に回り、留学するに十分なお金はなかなか貯まらない。かつ奨学金を借りていたこともあって、やはり大学の短期留学は難しいな…と。実現可能性が低いなと思いなくなく断念しました。
そうは言うものの、やっぱりどこかで海外に出たい思っている自分がいて。そんなこんなで夏休みを過ごしていた時、AIESECという海外インターンシップ事業の運営をしている団体に入っている大学の友達がその夏、海外プログラムに参加することを知りました。
彼女は、現地での生活のことやプログラムを通して得た学びをSNSで積極的に発信していて。私は彼女がたくましく成長している彼女を尊敬の意をもって見ていました。
その子が自分にとって一番のキーパーソン。彼女は私がとても信頼できる人だったので、大学2年生になる前の春休み期間に、自分もAIESECの海外プログラムに参加してみたい!と思うようになりました。
それが海外インターンシップとの出会いでした。
▲インターンシップ先の近くにあるマーケットの風景
ー素敵なお友達ですね!ありささんは、自分にとって有益だなと思う情報はどのようにして収集することが多いのですか?
やっぱり一番は大学の先輩や同級生から話を聞いたりして、色々な情報を仕入れることが多いですね。
それ以外にも、ぜひおすすめしたいのがFacebookを活用すること。Facebookを使うことに最初は私も抵抗があったけど、みなさんにもぜひ一度使ってみてほしい。Facebookでは、イベントの情報をいち早くキャッチできたり、個人個人が様々な意見を発信しているから、その人の感性を知ることができるしそういう人たちとつながることもできるのが利点ですね。
自分は色々な媒体から情報を一つずつ集めるのは苦手だから、受動的にでも興味のある色々な情報を気楽に集められるFacebookは結構重宝しています(笑)Instagramはプライベート感が強くて個人の趣味を共有するという要素が強いけれど、Facebookはアカデミックな内容も豊富だし、海外の友達関係も意外と広げやすかったり、周りの目を気にしないで自分の意見を発信できるという魅力があると思っています。
▲スリランカの女性スタッフに仕事を教えてもらっている場面
海外インターンシップの決め手とは?
ーありささんは様々な交友関係からたくさんの情報に触れる機会を自分から作っていたということですが、最終的にスリランカに海外インターンシップとして渡航すると決めたのはなぜですか?
決め手になった要因は大きく2つ。1つ目はプログラムの「内容」。
当時はとにかく海外で何かを経験したくて。海外で学ぶということを考えると真っ先に留学が思い浮かぶと思うのだけれど、自分の中で留学と海外インターンシップを比較したとき、留学は大学や留学エージェントがある程度守ってくれる環境で学べる「安心感」というメリットがある。
でもその分、現地にいる時間を自分のやりたいように使ったり、現地の社会に溶け込むというのはなかなか難しいのかなと。海外から来た「お客さん」として扱われてしまう、それに自分が甘えてしまうのではないかっていう恐怖はありました。
それに比べて、私が参加したプログラムは自由度がとても高くて、自分が経験してみたいと思っていた現地社会に溶け込んで「その土地のリアルを知る」ことができるかもしれないと思ったんです。現地の生の声に耳を澄ましてたくさん対話したい、吸収したいと思っていました。
そして2つ目は「お金」。私が参加した海外インターンシップのプログラムは、現地滞在期間が6週間で、留学するよりも費用が圧倒的に低価格で抑えることができました。
海外インターンシップは、自分の現地で経験してみたいことを実現できて、なおかつコストの面でも今の自分に一番適していると思ったから最終的にスリランカに行くと決断しました。
▲現地スタッフにシンハラ語を教えてもらっている場面
インターンで気づいた「海外にこだわらなくていい」理由
ー初海外がスリランカということで、たくさんの苦労があったと思います。現地での生活や環境に適応する中で何か困難に感じたことはありましたか?
それがほとんど無くて(笑)初海外ということもあって普通ならもしかするとカルチャーショックとかホームシックとか感じることもあるかもしれないのだけれど、自分はそういう思いをしたことは全然ありませんでした。幸せ者ですね(笑)
確かに最初の1~2週間は海外ってこんな感じなんだ!っていうトキメキは多かったように思うけれど、環境適応に関して特に問題がなかったのは、自分の中に偏見というものがあまり無かったからかな、と思ってます。
相手の事を「スリランカ人の女性」とか、社長の事を「日本人経営者」と見るのではなく、一人の人間として対等に関わりたいという思いがとても強かったし、「違い」があるって当たり前のことだと思っていた。
逆に、スリランカでは学歴などのフィルターが一切取り払われて自分も相手から「1人の人間」として見られる。クリアな関係が築ける反面、人間性やスキルが大事になってくるっていうことだから「頑張らなきゃ」って気が引き締まることが多々ありましたね。
そんな生活を1-2週間も続けた頃からかな、「違い」ではなくて、徐々に自分と彼らとの「共通点」に目がいくようになっていきました。
私はスリランカの女性スタッフたちが好きすぎて毎日たくさんおしゃべりしていたんですけど、その内容はスリランカ社会における女性の扱い方への対する疑問・不満からライフプランや夢、家族、恋愛の話題などさまざま…この何気ない会話を通して彼女たちの根本的な悩みって私が抱える悩みや不満と共通していることに気づいたんです。
▲バナナのお店の方々と仲良くなって、いつもおまけをしてもらっていました
ーなるほど。違いではなく、共通点に興味がいくようになったというありささんのお話し、とても興味深いです。共通している事を知ったときにありささんの中で何か変化したことはありましたか?
変化したというよりも、反省しました。私は、とにかく海外に行きたい!海外でしかできない刺激的な経験があるはずだ!と思っていた。あとは英語で現地の人とコミュニケーションをとれる自分ってかっこいいなと思ったりして。結局自分は”海外に行く”“英語で会話する”という行為にばかり目がいっていて、そこで“何をするのか”“何をしたいのか”という本質的なことまで考えが至っていなかったと思ったんです。
スリランカでのインターンシップを経験して、言語はあくまで手段。上辺じゃなくて「心と心で繋がること」それ自体に価値があると気づくことができました。
スリランカに行く前、母に「なんで海外じゃないと行けないの?」と何度も聞かれた。でもその時私は、明確な根拠をもって説得するのではなく、ただただ自分が海外に対して抱いているイメージや憧れをぶつけていただけで、海外だからいい、英語を上達させたいんだということしか話せなかった。
海外インターンシップを経験したことによって、逆に、「海外じゃないといけない」とこだわることなんてなくて、日本でだってできること、人とのつながりの中で新たに発見できることがいっぱいあると気づけました。
以前の私は、日本のことを十分分かり切った気でいたんですよ。価値観も言語も類似した“mono”な環境だから、新たな刺激や価値観のアップデートをするには物足りないって感じてしまっていました。
でも、決してみんな同じなんてことはなくて、一人一人違った価値観や信仰、セクシュアリティ、経験を持っている。彼らから学べることがたくさんある。知らない世界が身近にも広がっているんだって気づけたから、毎日わくわくですよね(笑)
ー帰国後にありささんの中で変化したことはありましたか?
海外に固執することがなくなったことが一番大きいかと思います。海外インターンシップに参加して、現地の人と関わる中で、自分は日本のことを何も見知らないということに気づかされた。
特に印象に残っているのは、社長さん(日本人)に「日本って本当に幸せな国なの?豊かさって何?」と聞かれてうまく答えられなかった経験。豊かさって何だろうと本気で悩んでしまって(笑)
もちろん海外に出てみることは大切だと思います!なぜなら私も海外に出てみなければ、このような気づきを得ることができなかったと思うから。だけど海外にばかり固執するんじゃなくて、まず自分の国を知ること。そして、自分なりの主張や意見をもって海外に出たほうがより深い経験を積むことができると思います。
すべての経験を、自分が変わるきっかけに。
ーありささんはスリランカで文化の違いではなく共通点を見つけ出すという経験など、多くの学びを得て帰国されましたが、普段から相手のことを知るために意識していることはありますか?
現地で話すときは特に、相手の宗教や文化に対して批判的な態度をとらないように細心の注意をしていました。あとは月並みだけど、言葉のキャッチボールかな?(笑)一方的に話を聞くのではなくて、自分の意見もきちんと伝える。自己開示をすることは相手と信頼関係を築く上ですごく重要なことだったと思います。
あと現地で会話する中で学んだことは、「すべてが言葉で伝わらなくてもいいんだ」ってこと。相手の感情に敏感になっていれば、相手を理解したいって真っすぐに思っていれば、相手の言いたいこと・考えていることが言葉にできなくても心で通じ合う瞬間って本当にあるんですよね(笑)
一緒に泣いちゃったりして(笑)見えないこと・言葉にならないことにも隠された価値が眠っているなあって思えるようになりました。
ーありささんは現在も多忙な学生生活を送っていると思いますが、これだけは伝えておきたいことはありますか?
まずは、①人と比べないこと!
私はよく周りを意識しすぎてしまって、自分のできていないことに目がいってしまいよくへこんでました。(今も時々へこみます。)社会のものさしで自分を見るのではなくて、自分のものさしをしっかり持って自分を評価してあげないといけないと思っていたけどなかなかできなかった。私、こう見えて結構完璧主義なんですよ(笑)。
だからいつもまずはみんなの100%をできるようにして、そしてその100%に加えて自分なりの付加価値を出さなきゃと思ってしまうことが多々あった。でも、インターンシップでお世話になった社長さんに、「及第点の60%でもいいんだよ。100%目指して頑張ってみて、結果60%でもそれでいいんだよ。0よりも行動を起こして60%のほうがいい。」という言葉をもらって。心がとても軽くなった思い出がある。
そして最後に、②まずは行動する!ということを伝えたい。
情報収集をしたり、インプットを増やすことよりも、人に相談したり、団体に入ってみたり、自分以外の人と繋がる経験を私は重要視している。これは「やらない後悔よりやる後悔の方がいい」という考え方に基づいています。だからまずは行動してみて!「決断はやめることを決める行為である」というように捉えることで行動するハードルを下げることができると思います!
▲オーナーさんから「及第点60%でも頑張って60%だったらそれでいいんだよ。
0よりも行動を起こして60%のほうがいい。」という言葉をもらったときの帰り道
ー最後にありささんの一番好きな言葉を教えてください!
私の一番好きな言葉は「正解を選択するのではなく、自らの選択を正解にしろ」という言葉。自分の決断に対して自信を持てなかったり、悩んでいたりするときは正解を探している状態。自分であの選択は失敗だったと定義づけさえしなければ、なんでも正解なのかなって。自分の行動をもってその選択を正解にしてやる!そんな気持ちで日々前向きに生活しています!
初海外がスリランカでのインターンシップという類を見ない経験をされたありささん。
海外での経験を積んだことで、「海外にこだわらなくていい」理由を見つけたという彼女の言葉は、この記事を読んでいるみなさんの考え方や価値観を変えるきっかけになったのではないでしょうか?
「正解を選択するのではなく、自らの選択を正解にしろ」という言葉のように、みなさんの挑戦がいつかみなさんの人生を豊かにしてくれますように。
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