【番外編】実録!教職課程のいろは-私たちが教職課程から学んだこと-

受験・勉強

今回は番外編、テーマは「教職課程」。教員必須の「教員免許状」を大学で取得する場合、教職課程の履修が必要です。そして、大学入学とともに多くの学生が履修を悩むものでもあるようです。

親から「大学で資格をとっておきなさい」とは言われたけど、どんな流れで取り組めばいいのかな……、「教職は忙しい」というイメージがあるけど、実際はどんなスケジュールを送るのだろう?等、不安が尽きない学生の声を私たちは今まで多く耳にしてきました。

本座談会ではこの春に中高英語の教員免許状を取得、同時に津田塾大学を卒業した3人が教職課程と大学生活、そして進路について語ります。今回の対談参加者全員が実は大学卒業後すぐは教員以外の道で働くこと・進学することを選んでいます。先輩のリアルな経験談と感想があなたの大学生活の決断を後押ししてくれることを願っています。

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座談会メンバー紹介

今回の対談メンバーはこちらの3名でお送りします。

授業・実習に関して

教職課程を履修したきっかけ

MR:中高の先生が自分の具合が悪くなったときにとても気にかけてくれていて。そこから教員という仕事を魅力的に感じたんだ。資格として教職免許状を取得したいと思って履修を決めたんだよね。

shuri:生徒として、素敵な先生と出会えたことがきっかけなんだね。

SB:将来やりたい仕事が特にない状態で大学に入学したんだよね。教員免許状を取得することで、将来は教員になる道も開けるかなと思ったんだ。あと、実は父親が英語の教員だから、教職が昔から身近な職業だったこともあるかな。

shuri:知らなかった!お父さんから教職に就くことを勧められることはあった?

SB:いや、それはなかったんだよね。でも、教職の授業で困ったときに頼れる人が身近にいるのは心強かった!

MR:たしかに!それはいいね!

shuri:大学1年の履修開始時に「教員になりたい度」はどれくらいだった?

MR:当時の「教員になりたい度」は50%-60%くらいだったかな。学んでいく中で、もし自分に合わなかったら履修中止もできるから、という軽い気持ちでスタートしたかも。

SB:そうだね、私は30%くらい。本当にやりたい仕事が見つからない時に教員になろうって思ってたかな。

先輩の時間割、見せてください!

shuri:教職課程を履修する時って、どんな感じで時間割組んでた?私はどうしてもコマ数が多くなっちゃうから、4年生までは週5で1限を入れることでなんとかしていた印象があるかも。

MRSB:当時の時間割、あるよ!

SBの場合(2年生と3年生の同時期を比較して)

左:2年生の秋学期、右:3年生の秋学期。

SB:「2年生の頃は学科の必修が多い関係で、授業同士が被らないようにどうしても1限に教職が入ってくることは多かった」かな……。

shuri:やっぱりみんなそうだったのか……。SBは実家から通学していたよね?

SB:そう!大学まで片道1時間は必要だったから、毎日朝早く起きるのは大変だった……。

MR:私も大体同じくらい通学時間かかるけど、本当に毎日はきついよね……。

shuri:おお……、私も大学付近に一人暮らししていたからなんとかできた部分は多いから、自分の体力と相談することが必要だね。

SB:本当にそう。趣味に使うお金を惜しまないでいたかったから、アルバイトも家の近くで授業終わりに週3回ぐらいしていたし。2年生の頃は本当に忙しかった!

shuri:3年生(右側)は結構コマ数が減って、時間の使い方に変化はあった?

SB:2年生でたくさん授業を履修したおかげで、3年生では全休(丸1日全く大学での授業がない日程)も作れたよ

MR:すごい!私は結局3年生終了まで全休を作ることが一度もなかったよ……。

shuri:私もそうだった(副専攻履修者)……。

「教職履修者は授業が多い」という印象を抱えている人には、本人の頑張り&学科の必修次第では全休も作れることを知ってほしいね!

MRの場合(副専攻、教職課程を同時履修する場合の3年生)

▲3年生の春学期(左)と3年生の冬学期(右)

SB:こちらもまた朝が早いね……!

MR:そうなの!2年生までも授業はバランスよく履修していたんだけど、3年生になってから副専攻(学科で定められた主専攻に加えて学びを深める制度)を履修することにしたんだよね。

shuri:副専攻の時間割も午前中が多い印象があるけど、時間の使い方としてはどうだった?

MR:教職課程も模擬授業(実際の授業形式を模して、学生同士で授業を再現する取り組み)の発表が頻繁にあったり、授業によっては時間外の打ち合わせも多くて結構大変だった記憶が……。

SB:たしかに。特に教職の授業は、同じ授業をとっている人同士で事前にグループワークすることが必要なものは多かったよね。

shuri:2年生までとは違って、3年生での教職の授業は濃度が一気に濃くなる印象があるかも。

MR:忙しいのは事実だけど、うまく時間を調整したら教職以外の学習も両立できるよ!

SBshuri:心強いお言葉!

《結論》
✓教職に対する強い決意がない状態で履修を始める人もいる
✓教職課程者がとにかく忙しいというのは真実
✓本人次第では全休が作れる可能性もある
✓1限、5限が多いので通学・バイトは大変
✓副専攻等さらに学びたい場合も両立は可能

介護等体験にて(大学2年生)―気づきと感動―

教職履修者には2つの大きな学外実習「介護等体験」「教育実習」があります。そう、ただ授業に取り組んでいるだけじゃいけない……。教員免許状への道は意外と遠いのです……。

shuri:中学校の免許状取得に必須の介護等体験は2つの取り組みが必要だったよね。「デイケアサービスなどの介護施設での体験」と「特別支援学校での体験」、合計して1週間程度だからそれほど長いものではなかったけど、どうだった?

MR:短い時間の中で自分がこれまで座学を通して理解しようとしていた介護・養護は全く違うものだったと気付かされたんだよね。現場は本当に大変で。

SB:わかる!私も実際現場に入ったら自分のできることの少なさに驚いた「今、手助けしたいけど自分は何ができるんだろう」っていう思いばかり募って、行動できないこともあったし。

shuri:行動の引き出しが少ないと、現場では右往左往するしかなかったよね。

MR:そうそう!自分では理解していると思っていた介護・養護の現場が全く理解できていなかったことを知ることができただけでも、いい機会になった

shuri:私たちにとって、個人を尊重し、社会の仕組みを知ることができる実習になったね。大変だったことはあるけど、楽しかったことも勿論あったよ。デイケアサービスでは自分の祖父母世代の方々とたくさんお話ができて。実習最終日には利用者の方々が歌を歌ってくださったんだよね!

SBMR:おーー!それは素敵!

shuri:あれは心に沁みたね。

いざ、教育実習へ(大学4年生)―教育現場のリアル―

介護等体験での思い出を胸に、3年生の授業と向き合ったのちに迎える最後の難関「教育実習」。私たち3人は中学・高校両方の免許状取得を目標に15日間以上の実習に取り組みました。

shuri:今年はコロナの影響で教育実習のスケジュールが変更になった学生も多かったんじゃないかな。

SB:例年は6月に実習に行く学生が多いんだけど、今年は9月から11月ごろの秋に変更になるケースが多かったんだよね。

MR:そうそう。10月に母校の中学校で実習をしたんだけど改めて先生のすごさを感じた。私が担当していたクラスの担任は、9時の始業から終業までの8時間に渡ってノンストップで生徒と楽しそうに関わっていたんだよね。いつ授業準備をしているんだろう?って思う忙しさで。給食も5分くらいで食べ終えるくらい、自分の時間を持たずに勤務されていることに疑問を感じて、質問したんだよね。

SBshuri:それで、それで?

MR:生徒が相談しやすいように余裕があるように見せている、って教えてくださって。生徒は大人が思っているよりも賢いから、忙しそうにしている先生には遠慮してしまう、というのを聞いて、先生は生徒のことを本当に考えているんだなって。

SB:それはすごいね。私の母校の高校では部活動指導が大変そうで。先生方も週休2日なはずなのに、土日も当たり前のように部活のために出勤しているんだよね。自分が生徒だった時はそれが普通だったけど、先生方の忙しさを目の当たりにすると身が引き締まる思いがしたね。

MR:先生方があれだけフル稼働で1日を過ごせる体力があるのがすごい。その上、実習生の私が書く日誌にも丁寧にコメントを書いてくださって。

shuri:そうだよね。日誌を毎日返却してもらうのが楽しみだったかも。みんなは教育現場で発見したことはあった?

SB:意外と紙の文化がまだ根付いているんだなとも思った。大学の授業では「ICT活用」が進んでいることをよく聞いていたんだけど、現場はまだ意外とそうでもないのかも。

shuri:確かに生徒への連絡や提出物はプリントを未だよく使うかも!

MR:私は生徒の1分間スピーチへの即興コメントが本当に難しくて臨機応変に深掘りする質問力の重要性に気づいたどのように生徒の個性を引き出すか試行錯誤していたかな。

shuri:実際に生徒と触れ合ってみて初めて気づく苦労もたくさんあったよね。

SB:生徒と年齢が近い分、友達寄りになってしまうことにも悩んだかも。でも、自分が高校生だった時と学校の雰囲気が変わっていなくて安心した!高校生のキラキラ感と活動的な雰囲気は懐かしさを感じたなあ。

MR:中学校では担当教科の授業だけじゃなくて道徳、HR、給食指導もあったから時間が足りない日もあって大変だった。研究授業の準備で満足に寝ることができない日々も続いたけど、教育実習、振り返ると楽しかったよ!

教職課程と学生生活を振り返る

教員志望だったけど…ー悩んだ果ての進路選択ー

shuri:お二人教員免許を取得するけど、大学卒業後の進路として教員にはならない選択をしたんだよね。

SB:そう。教員の大変さを現場での体験を通して知ったこと、「自分にできるかな」という不安があったことは大きかったかな。現場で「先生だけが頑張っても教育自体を変えられない」と感じたんだよね。学校教育で生徒を支えるだけではなく、教員も外部から支えられる仕事がしたいと考えるようになったよ。

shuri:実習がきっかけなんだね。

MR:本当にギリギリまで悩んだんだよね。4年生になるまでは6月に予定していた実習を通して腹をくくろうと思っていたんだけど、コロナの影響で先が見えなくなったこともあって。結果として、実習の予定が10月にずれ込んでしまったし。

SB:私は、先生になるなら一度社会に出てからなろうというという思いがあって。小中高と学校という場所で過ごしてきて、一度学校の外に出てみたいという考えがあって就職するの。あとは、いろんなバイトを経験して、仕事を通して幅広い世代と話すことの面白さに気づいたんだよね。

shuri:いつかは教員になりたいという思いもあったりするのかな?

SB:大学の授業を通して「教育とICT活用」に関心を持ったから、仕事の効率化を学んで教育現場に生かしていけたらいいなという思いはあって。もし、今後いつか教員として働くとしても一度企業で働いた経験はきっとプラスになるだろうと思っているよ。

shuri:これまで学んだ教職の履修を通して、気づいたことがあればぜひ共有してほしいんだけど、どう?

MR:教職の授業では複数人で一つの授業を作ることが多かったけど、実際は自分一人で教壇に立つことが必要だから、一人で話す練習はしてもいいかも。

SB:そうそう、テンパってもなんとか話し切る度胸は本当に大事!

MR:あとは教職の履修を通して、タイムマネジメントが上達したような気がする!

shuri:わかるかも!レポートや提出物もたくさん取り組んだよね。

MR:そう!資料作りも上手くなった!

教職課程から学んだことー後輩へのメッセージー

MR:大学では今から作っていきたい理想の教育を学ぶことができるし、実習では現場を知ることもできた。教職課程を通して、理想と現実のギャップを身をもって体感できたかな。自分が生徒だったときのことを振り返ることができるのも強みかもしれないなと思います。

SB:教職の履修は勉強の仕方を学ぶことができるから、今までやってきた学習がどうしてうまくいかなかったのか発見できる。プレゼン能力や資料作成も上達したし、学習におけるモチベーション向上の秘訣を知ることができたから、就職活動では自己分析にも役立った!そして、人前で話すときのテンションを訓練することもできるし、いいことばっかり記憶にあるかな。共に頑張る友達もたくさんできるから楽しいはず。頑張ってください!

shuri:少しでも教職に興味があったら履修することをお勧めしたい!実際、多くの仲間ができるし、人前で話す技術を習得する上でとても勉強になったんだよね。大学で教職課程を履修した経験は、きっとこれからの生活に役立つはず迷っていたら是非チャレンジしてください!

今回は教職課程をテーマに、座談会をお送りしました。この記事はみなさんの悩みや迷いが少しでも晴れて、前向きに大学生活を送るための後押しができていたら幸いです。

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