【私生活】自分の身の回りに目を向ける大切さ —自分がマイノリティになる感覚から—

受験・勉強

今回の先輩大図鑑は津田塾大学多文化・国際協力学科三年の鈴木紗羅さん。

コロナ禍での彼女の内面の変化を追っていきました。

コロナ禍で何もできないと悩んでいる人、自分の楽しみが見つけられない人、やりたいことが見つからない人、ぜひ読んでみてください。

自分がマイノリティになる感覚

—コロナになって、大学に入ってからでも、自分の考えや行動で変わったなと思うことある?

コロナ禍になってから、初めて自分がマイノリティーになる感覚を意識したんです。日本にいながら、本当に些細なことかもしれないけど意識するようになった。

その中で今まで意識が外側(海外など)に向いていたんですけど、内側(自分や自分の身の回りのこと)に向くようになって、自分の身の回りのことについて考えるのって大切だなと考えるようになりました。

 

—「自分がマイノリティになる感覚」ってどういうこと?

コロナ禍の初めの頃、家で自分が孤立しているように感じたことや、サークル活動で大学生の声が届きにくいと感じたことです。

生きにくいなと感じていた時に、あ、これって、今まで学んできた国際協力でいうマジョリティとマイノリティの構図と似てるんじゃないかと考えるようになりました。

今まで世界ベースで学んできたことがこんな身近に起きるというのを意識したコロナ禍の生活でした。自分の経験や先生の話を聞いて、ふと思ったこと、感じたことが、学問的に落としこめることなのか、説明できることなのか、というのを考えるようになりました。

外に向いていた1、2年

—多文化・国際協力学科を選んだ理由はある?

祖父母や親戚の影響で海外に憧れがあって、フィールドワークができることに惹かれてきました。小さい頃から祖父母と一緒に過ごすことが多くて影響を受けました。祖父母のおかげでフィリピンも4回ぐらい連れて行ってもらって、そのほかにも韓国、台湾に行きました。恵まれていたと思います。中学校ではカナダ、大学に入ってからはタイに行きました。 

大学で行ったタイの旅行は、ボランティアという名目で二週間行かせてもらいました。山岳地を訪れて、文化交流をしました。そこの幼稚園や小学校に出向いて日本語を教えることもしたけれど、どうしてここで日本語を教えてるんだろうって思っていました笑  

海外に行くのはやっぱり好きなんです。初めはお客様って感じだけれど、そこから徐々に解放されていって、だんだん現地の人のテンション、空気感、言葉のイントネーション、笑い方とかが少しずつ無意識に似てくるんです。私はそれがすごい好きで。 

そういうこともあって、海外に関心が向いていてこの学科に入ったのだと思います。

▲タイでのパイナップル収穫中の様子

—(国際協力に関することを学んできたって言ってたけど、)1、2年生の時は授業を聞いてどういう風に感じていたの?

1、2年生の時は正直、国内のマイノリティの存在とか全然知らなかったんです。例えば、私の出身は浜松市なんだけれど、浜松市ってブラジル人居住区でブラジルからの日系の移民が歴史的に多いんです。それは知っていたんだけれど、調べてみるとフィリピンの人も多かったんです。その人たちがマイノリティになっているとか、生活が苦しくなっているとか全然知らなかった。本当に何も見てなかったんだなと感じました。

実家での孤立感から

—外に関心が向いていた中で、自分や身の回りのことに目を向けるようになったのはなんで?

去年の5、6月に、私は家族の中でマイノリティだなと感じるようになったんです。その時は、実家に避難していたんだけれど、自分の周りは田舎でコロナ感染者があんまり多くなかったこともあって、ほとんどコロナ前の生活に戻っていたんです。一方私は授業があったからずっとパソコンの前に座って過ごしていて。家族と私の間であまりにも生活が違ったから、必然的にコロナや勉強に対する考え方も違くなってしまって。自分だけ非日常にいる感覚がすごく辛くなった時期がありました。

やっぱりオンラインでできるコミュニティと実際の対面でできるコミュニティの差はすごく大きいなと感じました。初めて家族の中で、暮らしにくいな、生きにくいなと感じました。

サークル活動の中で

活動の制限を経験して

ほかには、サークル活動の中で大学生がマイノリティだと考えるようになったんです一橋大学管弦楽団というサークルに入っていて、そこで演奏会が中止になったり、活動が制限されることがあって。正直去年はしょうがないなと思っていたところもあったのですが、今年に入ってからも制限されることが多くて、やっぱりサークルや音楽活動は一瞬で切られるもので、私たちの声は届きにくいんだなと感じました。

大学生は社会人より声が届きにくくて、そういう意味でマイノリティの存在と近いものがあると感じたんです。友達と話している中で大学生はマイノリティだという言葉も出てきて確かにそうだなと思いました。

教授の言葉

その時にちょうど、教授が体験授業の動画で「生きていることがフィールドワークですよ」って言っていたんです。始めはどういう意味かわからなかったんだけれど、自分の孤立感を感じるようになって、ここが(学んだ構図を体験する)現場なのだと気づいて、自分の身近なことと学問的なことが結びつきました。そういう意味でコロナ禍も少しは意義があったのかなと思いました。

中間団体への興味

サークルの友達と話していく中で、やっぱり声を届けるには、政府と学生の間に中間団体のようなものが必要なんだなとも思いました。

私もまだ勉強途中でよくわかっていないのだけれど、中間部がないから大変な場合があるんじゃないかなと思って。そういうことから中間団体に興味を持ち始めて、たまたまNPO団体に入ることにもなったので、今年は中間団体について勉強したいなと思っています。

▲コロナ禍の演奏会の様子

ひょんなことから入ったNPO団体

—どんなNPO団体に入ってるの?

日本ルーマニア音楽協会という団体です。

 

—入ったきっかけは?

NPOに入ったきっかけは、たまたま叔母のコンサートの手伝いに行った時に、伴奏者の方とお話しする機会があったんです。それで、その方がちょうどルーマニア音楽協会に入っていて、紹介してくださってバイトとして入れました。

実家にいた時は自分のことに必死で対外的なやる気が削がれていたんです。でもその反動で、東京に戻ったらなんかやったほうがいいな、やってみたいなと思って、ちょうど機会があって入ったという感じ。

 

—東欧や音楽にはもともと興味あったの?

一年生の時はなぜか東欧に興味があったんです。私の性格上メジャーなものや流行りのものに興味が持てるタイプではないので、明確な理由があるわけではないのだけど、東欧が日本ではメジャーではないと思っていたことも関係していたと思います。あとは音楽が独特というのに惹かれていました。

音楽は年長からバイオリンをやっていてオーケストラも小学校3年生の時からやっていたので私の中で外せないものになっちゃっていたんです。

大学入ってから音楽はやめようと思った時期もあったのだけれど、結局サークルも管弦楽のサークルに入っちゃいました。

 

—ルーマニア音楽協会ではどんなことをやっているの?

私はSNSを使った広報とコンクールの運営がメインですね。コロナ禍でなかったらルーマニアにも行けたかもしれないけれど。

あとは、私は携わっていないのだけれど、ルーマニア大使館のコンサートとかもやったりしています。

ルーマニア音楽協会の情報はこちら!

理事長「ルーマニアは唯一のラテンの国で、治安も良いです!」

 

—NPO団体に入って感じたこと、学んだことってある? 

人間関係の面からいくと、たくさんの年代の方やバックグラウンドを持った方と話すのは大切だなと改めて感じました。音大卒の人とか普段話す機会がない方と話す機会があって。大学のいいところって同じような年代の人が同じような興味関心持っていることだと思うんだけれど、NPO団体は違う年代、バックグラウンドを持った人がいるから、少しずつでもそういう人と話ができるというのは貴重だなと思いました。

これは理事長から聞いた話なんだけれど、ルーマニアの人たちは訪問しに行くと、日本語で挨拶してくれたりJ-POPの歌とかを歌ってくれるそうです。ルーマニアの人たちは知っていて行動しているのに、私はルーマニアについて知らないことが多すぎるなと思いました。

でも、文化を知るだけで止まりたくないという思いもあります。文化を知ることは大切だけれど、その先のことを考える必要があるんじゃないかと考えるようになりました

 

—その先のことって?

他国の人の文化を知って、それを自分の考え方や見方の変化に繋げること1、2年生で学んだ基礎的な考えや前提を、どう自分の学びにつなげていくのか考えるのが大学生後半の課題なのかなと考えています。

▲コンクールのステージマネージャーをやっている紗羅さん

内側(自分の身の回り)を見る

身近なことに目を向ける

—1、2年からの経験や変化を通して、今考えていることはなんですか?

今やっぱり重要だなと思っているのは、コロナ禍の状況だからこそもっと自分の身近なことに目を向けること。学問的には、民族や国で分けて考えられることが多いけど、バックグラウンドが違うのは民族や国が違うからだけではないというのをすごく感じました。家族やサークルやNPOの経験を通して、同じ状況下でも全然違う考えを持っている人がたくさんいることを知りました。友達でもみんな経歴とか歩んできた道が違うから、こういう状況だからこそ、もっと自分の身近にいる人たちと対話して、身の回りの社会についてもう一回考えてみてもいいのかなって。 

1年生の時は、こういう学科に入ったし、世界のことを見るのに意味があると思っていたけど、これからは凝り固まらずにもっと地に足をつけて考えていこうと思いました。私自身、専門学校の子や留学していた子とか、働いてる友人などから学ぶことがすごくあって、そういう友達の日常を聞くとか、それもすごく楽しいなって。今までどこをみていたんだろうと思いました。

▲実家近くの山に登ったところ

大学生に向けて

—大学生に向けて一言お願いします

やっぱり私はこの状況下になって、身近なことに目を向ける大切さに気づきました家族から違う人間だから、家族ともっと対話してみるとか、身近な人や店や公園とかでも、そういうところに目を向けてみると面白いんじゃないかな。学問的にも、自分の生活を過ごしやすくするためにも。ちょっと楽しいことあるかもしれないよっていう。

—最初にいっていた「感じたことを学問的に落とし込めてく」っていうことと通じるところがあるね。

いかがだったでしょうか。

今回はコロナ禍での、さらさんの内面の変化に迫っていきました。

個人的には、成長の仕方って人それぞれだと思うのです。さらさんの変化というのは、目に見えやすいものではないかもしれませんが、着実に変化しているのをお話を聞いて感じました。

私も自分の中でコツコツと変化し、それを実感して楽しめたら幸せだなと思いました。

「外もわからないことだらけだけど、自分の周りもわからないことだらけだよ」というメッセージ、皆さんにも届くと嬉しいです。

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