今回の先輩大図鑑では、台湾出身で、関西大学に本科生として入学を果たした3年生の蔡(サイ)くんにインタビューさせていただきました!
蔡くんは、中国語、日本語、英語のトリリンガルであり、3つの言語を使いながら学生団体を運営したり、自身の人脈を広げている学生さんです!
筆者と蔡くんは同じ学生団体に所属し、日本と台湾の交流事業を行う、日本台湾学生会議の東京本部と関西支部を運営していました!
蔡くんは台湾で日本語を完全にマスターし、現在は関西大学の3回生として様々な活動をされています。
蔡くんの語学の勉強に対する高い意識はどう作られていったのか、また蔡くんが代表を務める国際交流の学生団体ICPをどのように運営しているのかなど、蔡くんならではの経験をもとに紹介していきます。
日本の大学進学を決意したきっかけ
ー蔡くんは台湾出身ということですが、なぜ日本の大学に進学しようという決断に至ったのですか?その決断の背景を知ることはきっと読者の皆さんの大きな「決断」をするときの手がかりになると思っているんです!
まず、僕が日本に興味をもったり、日本の事を知ったきっかけは、僕のおじさんが東京に住んでいて、小さいころに何回か日本に来たことがあったからだよ。
そこから、日本には興味があって、高校1年生の時に、第2外国語の授業で日本語を学び始めた。当時通っていた高校は、日本と姉妹校提携をしていて、僕の高校に日本の学生が来たことがあったんだ。日本人の学生と日本語で会話をしたとき、授業の内容だけでは自分が望むレベルの会話ができない!と強く感じて。
だから、その時から独学で日本語を猛勉強し始めて、日本語能力試験(N検)1級だけいきなり受けたよ(笑)。そしてその試験に一発合格した(笑)
ー日本語能力試験(N検)1級は日本人でも取得が困難なほど非常に難しい試験です!その試験を1級だけ受検し、かつ一発合格するというのは、本当に大きな挑戦ですね!
僕の考え方としては、日本語能力試験(N検)の2級や3級を受検したとしても、結局僕が目指す到達レベルが2級や3級のレベルではなかったから、あまり受けても意味がないなと思っていたんだ。
もし受けたとしても、時間もお金も無駄にしてしまうのではないかと思っていたこともあって、どうせなら一番高いレベルを目指して受検しよう!と心に決めて、1級だけを受検した。
ー自分の到達目標をもって最大限の努力ができる蔡くんの考え方、とても尊敬します。日本語能力試験1級取得から、どのような経緯で日本の大学進学を選ぶことになったのですか?
僕は台湾で日本語を身に付けることができたから、大学で日本語を専攻して学ぶ必要が無いと思っていた。しかも、日本語の勉強を通して、自分にとって一つ大きな成功体験を得ることができて、自分に自信がついたんだ。
それに加えて、僕のおじさんが海外を転々として働く姿に憧れを抱いたことも大きかった。自分が生まれ育った場所でずっと暮らしていくよりも、もっと海外に出ていろんな経験を積んでいきたいと思っていた。だから、高校2年生の時に日本の大学に進学することを決意して、日本の大学受験の勉強を始めたよ。
僕は、自分の今の実力よりも高いところに挑戦することが大切だと思っているよ。
僕は「日本に行きたい!」という強い思いを持っていたから、日本語を身に付けた後は日本の大学に直接進学できるという選択肢を知ったときにすぐ行動を起こした。両親に相談したりしたときには既に日本の大学に進学するという前提で話をした。やりたいと意思をもったときに、どうしたらできるかを考えることで、自分の道を切り開くことができると考えているんだ。
様々なサークルや学生団体に所属。その訳とは?
ー蔡くんは来日後、国際交流の活動に力を入れたそうですね。どのような経緯で国際交流に興味を持ったのでしょうか?
僕は台湾の高校を卒業してから、約10カ月間東京で大学受験の勉強をしていた。その期間中、当初は中国語を話せる人と仲良くしていたのだけれど、東京という大都市なのに、他の国の人と交流する機会があまり持てていなかった。
そのとき、友達に誘われて国際交流パーティーのイベントに参加したとき、本当に楽しくて。それからは、週1回、100人以上の外国人が集まるその国際交流パーティーのイベントに参加するようになった(笑)
後々、その団体の運営ボランティアとして活動させてもらって、運営方法を学びながら、交流の輪を広げていったよ。これが国際交流に興味をもった経緯かな。
でもこのことが実は僕の人生の転換点になったと思っている。台湾の高校を出て、数か月間で僕の人生がガラッと変わった。こんなに短期間でも人生が変わるんだ!って感動した経験なんだ。
ー蔡くんは東京での受験生活を終え、関西大学に入学されましたね!大学生活で国際交流の学生団体にどのように出会い、日本台湾学生会議や学生国際交流団体ICPを運営するに至ったのでしょうか?
僕は東京ではなく関西の大学に進学を決めたから、関西でも国際交流のイベントやパーティーに積極的に参加したいな、と考えてサークルや学生団体を探していたよ。
大学では英語の勉強も頑張りたいなと思っていたこともあって、大学のESS(英語系のサークル)や留学サポートコミュニティに所属したり、国際寮のサポートメンバーとして日本人に混ざって英語を使いながら学生の架け橋になったこともあった。日本台湾学生会議関西支部にも所属した。僕は台湾出身だけど、英語圏出身の留学生に日本の文化や習慣を教えていたよ(笑)
あとは他にもテニスサークルや野球サークルにも所属していた。
▲日本台湾学生会議の運営メンバーとの1枚
こんな感じで大学に入学してからとにかく人脈を広げたりいろんな経験をするためにたくさんのサークルや団体活動に参加していた。これらの活動をすべてたくさんやったことによって、結局自分はやっぱり国際交流がやりたいな!という思いが強まって、国際交流パーティーやイベントを関西でも実現させたいと思うようになったんだ。
でも、どうやって活動をしていくべきなのかがわからなかったかったから、他の団体に所属しながら、団体の運営の仕方を学んでいたよ。
国際交流団体ICPの立ち上げ
ー蔡くんは様々な活動に参加し、関西でも国際交流パーティーやイベント開催を実現させるべく、国際交流団体ICPを立ち上げました。
関西にも東京と同じように外国人と気軽に交流できるイベントを作りたい!という思いから国際交流団体ICPを立ち上げて運営するという決断をしたよ。
自分は今までたくさんの活動に参加していたこともあって、自分が持っている人脈をふんだんにつかって、15人集めた。みんな団体運営は未経験だったけれど、たくさんのアイディアを出し合って様々なイベントを企画した。
初回イベントは27人の参加者だったけれど、メンバーと一緒に自分たちのブランドを確立して、当時2年生だった僕は春学期のほとんどの時間をICPに割いたかな。毎月1回イベントを開催して、参加学生の出身大学も拡大していき、現在では関西、名古屋、東京、台湾の台北4つの都市で運営(メンバーは現在約100人)するほどに拡大していったよ。
▲学生国際交流団体ICPでの活動の様子
ー立ち上げた団体の規模を拡大し、多くの学生の交流の場を作り上げてきた蔡くん。蔡くんがこの団体を運営したい!という熱い思いを抱く背景にはどんなエピソードがあるのでしょうか?
僕は台湾から来た留学生だから、日本は僕にとって新しい環境。僕にはこの背景があるから、いつもこの国際交流活動ICPを運営するときには、「新しい環境では新しい友達ができるか心配、その課題を解決できると良いのではないか?」と考えているんだ。
この思いは日本だけではなくて、もっと世界に広げていきたいと思っていて、現在はアメリカのカリフォルニア、カナダのバンクーバーなど欧米圏にも展開する予定なんだ。(しかし現在はコロナの影響で活動が滞ってしまっている)
国際交流の活動をしていると、様々な国の団体も興味を持ってくれて、最近はスペインの団体とコラボ企画をしたり、海外からコラボリクエストも来ている。活動すれば、本当に多くの人と繋がれるなって感じているよ。
こうやって自分が活動することで、思わぬ繋がりも持てている。学生起業家だったり、社会人の起業家とも接触する機会ができたんだ。僕は将来、自分が憧れたおじさんのように、世界を飛び回って、様々な人と交流活動がしたいな、という夢をもっているよ。
ー学生団体の活動が、将来の夢にまで繋がっているという点がとても夢があって素敵ですね!
国際交流の意義_出会いと学びの連鎖が将来に繋がる
ー蔡くんにとって国際交流の“意義”とは何でしょうか?
僕は国際交流の団体を運営することで、留学、インターンなどを経験しているたくさんの学生にや社会人に出会うことができる。その人達はやっぱり意識が高いんだよね。だから一つ一つの会話に刺激が多い。
僕が思うのは、ただ楽しく一緒にいるだけの繋がりではなく、 自分ももっと挑戦しないとな!という感覚になって、何事にも前向きに取り組めるようになるんだ!
ー最後に蔡くんのこれからの目標を教えてください!
実は僕、今台湾に帰っていて、このインタビューも台湾から受けているんだ。コロナの影響で日本に戻れなくなってしまった。でも、こんなときこそ、環境が変わってよかったことに目を向けて、自分がやってみたいことを追求してみることが大切だと思っている。
オンラインだからこそ、普段会えない人の話を聞いたり、セミナーに参加したり。そういう今までできなかった経験ができている。
あとはやっぱり、最初は小さな1歩でも、人生はいろんな出会いや学びをつなげていくことが大事だと思っているから、今しかできない一歩から次の手がかりを得られるように。台湾でその一歩を踏み出せるように日々努力したいと思っているよ。
▲左:日本台湾学生会議のロゴ画像 / 右:学生国際交流団体ICPのロゴ画像
新型コロナウィルス感染症拡大により、日本の大学に進学したものの、台湾にに帰らなくては行けない状況になってしまった蔡くん。
しかし、そんな時こそ今までにできなかった新たな一歩を踏み出そうと前向きに考える姿は、私たちの考え方も大きく変えてくれるものでした。
出身や環境に関係なく、自分が挑戦してみたいと思うことに果敢に挑戦する。その姿勢が個人個人の学生生活をより一層充実したものにしてくれるのではないでしょうか。
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