今回の先輩大図鑑は、日本大学国際関係学部国際総合政策学科4年生の川口太希さんにインタビューさせていただきました!
川口さんは大学時代、夏期休暇・春期休暇の長期休暇期間を利用し、海外ボランティアや、語学研修など、海外で様々な経験を積んでこられました。
多様な価値観に触れる中で、彼自身が得た学びとは?!
就職活動を終え、4月から社会人となる川口さんの学生時代のエピソードと、将来への抱負を語っていただきました。
大学生活を通して何か大きな経験を成し遂げたいと考えている学生さん、大学生活をどのように送っていきたいか迷っている学生さん、必見です!
行動力の源泉になっている原体験の数々
3つ上の兄と自分との比較で苦しむ中学時代
ー川口さんの中高時代に最も影響を与えた人ってどんな方ですか?
僕には3つ上の兄がいまして。兄はとてもハイスペックな人で、勉強も学校内でトップクラスで、県内も指折りの進学校に合格していました。僕は先生や周りの親戚などから、そんな兄と比較され、ずっと苦しかった思い出があります。しかし、嬉しいことに、当時の野球部の顧問の先生に卒業と時に言われた言葉が今でも心に残っています。「野球、(兄よりも)お前の方がうまいよ。」という言葉です。その時に自分が認められた気がしたのと同時に、兄と比べられる人生には歩みたくない!と強く思いました。
ー兄弟間で比較されてしまう状況、辛いですよね。中学時代の川口さんを一言でまとめるとどのような人だったと思いますか?
今と全然性格は変わらないですね。でも、やっぱりどこかで「他人に認められたい」という承認欲求はかなりありました。また、日本の学校では、「協調性」が重要視されますよね。それに対して、自分だけが目立ってしまったり、協調の輪から外れてしまう子とはとても嫌だなと感じてしまっていました。
ー周りと違う自分になることが難しかったのですね…。中学時代の原体験が、川口さんの中でどのように現在まで繋がっているのか、ぜひ早く知りたいです!
自分の素を出すことができた高校時代
▲高校・大学時代はアメリカンフットボール部に所属していました。
ー高校時代の川口さんはどのような学生さんだったのですか?
高校は自分で選び、進学しました。学校ではとても楽しく過ごすことができていて、自分が当時所属していたクラスの中では成績1位を取っていました。大学進学を考えたとき、このままではいけない!と思って、一つ上のコースに移籍し、勉強に励みました。高校時代は、中学時代と打って変わってのびのびと過ごすことができていました。
高校の修学旅行でラスベガスに行きました。現地では高校交流として日本人の学生と現地の学生と交流する時間がありました。その交流の時間に、現地の高校生が僕に「これ、やってよ」と言ってきたんです。
当時の僕は英語が全然分からないし、話す力もなかったので、言われるがまま、やってみました。すると、現地の高校生が僕を見て笑っていたんです。僕は何で笑われているのかが全く分からなかったんです。
きっと悪い意味で笑っているのではなく、単に僕が面白い人だって思って笑っていたのだと思うのですが…。負けず嫌いなので、わからなかったことがとても悔しかった。
大学時代の海外経験
ー川口さんは中学・高校時代とは打って変わって、大学生活では海外ボランティアや語学研修など、様々な経験をされていらっしゃいますよね。大学入学当初から大学生活における目標は何か持っていらっしゃったのですか?
まったく持っていなかったんです!(笑)
大学1年生【夏】:カナダ語学研修留学で得た唯一無二の経験
ー川口さんは早速大学1年生の夏休みを利用してカナダに語学研修に行かれましたよね!現地での印象深い経験はありますか?
僕は現地で1か月ホームステイをしたのですが、渡航前日にホームステイ先が2回も変更になっていたんです。飛行機に乗って現地に到着し、送迎のタクシーに乗ったところ、まったく違う住所の家に辿り着いてしましまして…。
なんとホームステイ先は、Wifiの使えない超豪邸に一人で暮らしているおじさんのお宅だったんです(笑)おじさんはLINEもメールもやっていない方だったので全ての伝言はメモに残していましたし、何よりおじさんが毎朝4時起きの超早起きの方だったんです(笑)
そのおじさんと2人暮らしを経験したことで、自分がイメージしていた「海外の生活」というものが大きく覆され、いい意味で自分の「海外生活の理想」を壊されましたね(笑)
ーそうだったんですね…。おじさんとの出会いが川口さんの中にある「イメージ」を変化させてくれたのですね!
大学1年【春】:マレーシアでの初海外ボランティア活動
ー川口さんは大学1年後期~大学2年生まで海外ボランティアに積極的に参加されていらっしゃいましたよね。なぜ海外ボランティアを選んだのでしょうか。
なんらかの手段で海外に行きたい!と考えたときに、一番安く海外に行くことができる手段が海外ボランティアだったんです。だから僕は海外ボランティアという手段を選びました。
友達の勧めもあって、とある海外ボランティアプログラムを行っている団体を通してマレーシアに行き、現地では土地の建設作業を行っていました。
「見せ物化」したボランティア活動の実態に直面
実は僕、このボランティア活動が「見せ物」になってしまっていると感じてしまったんです。「海外に」「ボランティアに行く」ということが一つのエンターテインメントのような感じになっていて、日本人の学生が「海外でボランティアをする」ことで、現地の人々や現地そのものが僕たち学生の「見せ物」になってしまっている。
毎年毎年100名近くの日本人の学生が現地に行き、建設作業に関わっています。現地の方はその作業現場に3名ほどいらっしゃるのみで、自分たち日本人のボランティア生は、現地の滞在期間中は日本人のボランティア生のコミュニティの中で生活します。
だから、マレーシアに行ってマレーシアでの生活を経験するというよりは、「マレーシアに行く」ということだけが目的となってしまい、現地で何か特別な経験を得られるかというとそうでないことがあります。
ーなるほど…。海外に行きたい、ボランティアをしてみたいという思いを持っている学生さんはぜひ海外ボランティアにはこういう側面もあるということを知っておくことは重要かも知れませんね。
日本人学生との関係性に問題を抱える
また、僕は現地で一緒にボランティアに参加した学生と上手く関係性を築けなかったんです。自分のは結構嫌われやすい性格でもありながら、性格が合う人からは好かれやすいということがあります。当時の僕は結構尖った考え方を持ってしまっていた部分もあり、自分の考え方や自分の世界観を持っていない人と渡り合うことが難しかったんですね…。
ーなるほど…。現地の方と価値観の違いから理解し合えないという経験はよく耳にしますが、日本人同士でも価値観の違いを理解し合うことは難しいこともありますよね。海外に行くとき、自分が関りを持つ日本人との付き合い方にも注意する必要がなるということを学びました!
物事の良い側面だけに着目するのではなく、実際に経験した方から率直な意見やアドバイスを受けることは大切なことですね。
大学2年生【夏】:アイスランドで海外ボランティアに再挑戦
▲アイスランドでの一枚
ー川口さんはマレーシアでの海外ボランティアの苦い経験を持ちながらも、大学2年生でも再び海外ボランティアに挑戦していらっしゃいます。なぜ再挑戦を試みたのでしょうか。
部活をして、友達とお酒を飲んで、とても楽しい大学生活は送っていたんです。しかし、そんな大学生活にいつしか飽き飽きしてしまっていました。つまらないなって思ってしまいました。だからもう一回海外に行こうと思いました。
▲アイスランドの風景
今回の挑戦は日本人が少ないプログラムに応募しようと考え、アイスランドを選びました。現地では「地域活性化」がテーマのボランティア活動に参加しました。でも実質ボランティア活動をするのはごく限られた時間のみだったので、その他の時間は様々な国から来た仲間と一緒に遊んでいました。現地には、日本人は自分ともう1人しかいなくて、ロシア人、イタリア人、ベルギー人、フランス人、韓国人、スペイン人と、とても多国籍な仲間に囲まれて生活しました。
ーボランティア活動の時間は少なかったということですが、ボランティア活動は結構ものによって内容や活動時間は変わってくるのですね。
仲間から受けた人種差別的発言。
実は現地で印象深い経験がありまして。シェアハウスの部屋を決めるときに、「お前らアジア人はそっちの部屋」と言われました。とても悔しかった。だからこの人たちと絶対に仲良くなるぞ!と思いましたね。最終的には、他国の仲間たちと仲良くなり、いろんなところに一緒に旅行に行きましたね。
ー差別的発言を受けながらも、差別をし返すのではなく、自ら歩み寄ろうとする姿勢が素敵ですね!
▲仲間と打ち解け合った瞬間です!
大学2年生【春】:タンザニアでマサイ族との交流で「現地に染まる」経験を積む
ータンザニアではどのような経験をされたのですか?
現地では、ちょっとした教育活動を行いつつ、主に現地の人との交流を楽しみました。
ータンザニアに行かれる方はなかなかいらっしゃらないですよね。現地ではどのようなことを学びましたか?
まず、マサイ族の子どもたちに将来の夢は何か聞いてみたんです。すると、大学生の自分たちでさえ自分の夢をなかなか語れないのに対して、貧しいはずの現地の子どもたちは自分の大きな夢を語ってくれたんです。とても驚きました。だから自分はいつかボランティアではなく、ビジネスという方法で相手も自分もWINになる関係を作りたいなと思うようになりました。
▲タンザニアでの一枚
現地の人達は、誰かを歓迎するときにヤギを解体して、内臓など全てを食する文化があります。とても衝撃的な経験だったのですが、文化の違いだと思い、現地に染まろうと思いました。その結果人生で初めてヤギの血を飲みました(笑)他の仲間はみんなおなかを下していたんですが、なぜか僕だけは大丈夫でしたね(笑)
▲タンザニアの風景
大学3年生:受検企業は5社のみ!自分なりの就職活動
ー川口さんは、就職活動の際、受検した企業が5社のみだとお聞きしました。率直に、当時不安はなかったのでしょうか?
不安はなかったですね。大学生活でいろんな人と出会い、タンザニアでヤギの血を飲むことができた(笑)という経験もあったので、自分に自信がありましたね。たくさん説明会も行きましたが、自分が行きたいと思える5社だけ面接を受けることにしました。
ーこれからの川口さんの夢はどのようなものでしょうか?
自分は今内定をいただいている企業にずっと勤めるという意思はあまりもっていないです。自分の周りで起業したいという友人が結構いるので、いつか友人が立てた会社で営業の仕事を請け負っていきたいなとも思っています!
最後に
ー川口さんは、自分になかなか自信が持てなかったり、一歩踏み出すことができずに悩んでいる学生さんが目の前にいたとしたら、どのような言葉をかけてあげたいと思いますか?
▲タンザニアの風景
そうですね…。自分は平凡な人間なんです。だから何かいいアドバイスはできないのかも知れないですが、狭いコミュニティで自己否定をするな、とは伝えたいです。自分の経験を通して思ったことは、何か人から言われてしまうときには、自分にも何らかの否があるということです。だから、「他人を責めるのではなく、自分が変わろう」と思えることが大切だと思いますね。
中学生時代の原体験から現在に至るまでの経験をたっぷりと語っていただきました。
海外ボランティアという経験の中から、良い面も、注意しなくてはならない点も全て本音で教えてくださいました。
川口さんの言葉が、どこかでみなさんの背中を押す「価値のある情報」となっていることを願っています。
Writer:namin
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