【就活】理想の自分像を目指して。「就職」に囚われない就職活動

就活

今回の先輩大図鑑は、法政大学の経営学部に通う田村陽さん(以下、ひなた)にお話を伺いました!

間借り(既存の飲食店の空き時間帯を借りて営業すること)でカレー屋を開きながら就職活動(以下、就活)をしていた彼ですが、就活に対する考えはとてもラフなものでした。

1、2年生の時は飲み会にアルバイトに…「何も考えていなかった」と語る彼について、大学入学当初から付き合いがある筆者が深堀しました。

ー今はカレー屋さんをしているよね!何度か食べさせてもらったけどとてもおいしかった!自分でお店をやりながらも、4年生は就活の年だよね。進路はどのように考えていた?

今も間借りという形で飲食店をやっていることもあって、長くても5年以内には独立したいという思いで就活はしていたよ。始めは広告とかITが絡むような業界とか、店をやるうえで役立ちそうな業界を受けていたかな。

というのも、飲食店をやるといってもただ「町の居酒屋」とかをやりたいわけではなくて、現代にあったお店がやりたいと思っていたからなんだ。料理だったら自分でいくらでも勉強ができるし、それよりもビジネスとして自分のやりたいことを軌道に乗せたいと思って。

▲間借りしているお店でカレーを作るひなたさん

ーそうだったんだね!独立という思いに至るまでの経緯を、少し遡って、聞かせてほしいんだ!

 

周囲とは2年遅れた大学進学

2年間の浪人生活

ーひなたは、高校卒業後すぐには大学に進学していないよね。2年間浪人生活を送っていたけれど、その時期のことを教えて!

まず高校卒業後1年間は、大学進学には全くつながらない「ロードバイク」とか「アルバイト」をしていたんだ。この時期を思い返すと、人生という枠組みでは下積みになると思うけれど、当時は大学に行くことなんて1ミリも考えていないし空白の時間だったかも。

それで、いざ大学に行くための浪人生活を始めようと決めたのが20歳になる年。その時はとりあえず「大学に入らないと」という気持ちだったかな。普通に予備校に通って、いわゆる「浪人生」を丸1年間やったけど、その時はこれから何をしようとか全く考えていなかったしとにかく目先の「大学に入る」という目標に向かってやっていた。僕の場合は「競輪」という自分の中の軸になりつつあるものを辞めて大学に行くという決断をしたから、大学に行って何を学ぶとか、この先どうするとかの設計は、周りの同い年より全然なかった

 

ーひなたは、プロになる目標があってロードバイクをしていたんだよね。それを辞めるきっかけが何かあったの?

高校卒業後1年目はプロの下のチームに入れてもらってそこで自分で練習したりしていたり、お金がかかるスポーツだからアルバイトをしたりしていた。でも、自分は才能ではそれで食べて行けるまでにならないと感じることが多かったんだ。あとは結構体を削ってやるスポーツだからそれを耐える強靭さが僕にはなかったんだよね。怪我が続いたりもして、思うように行かなくて見切りをつけたんだ。

それからは、19歳の2月あたりから大学に行くことを考え始めていた。はたから見たら実質ニートのようなものだっただろうし、親も心配はしていたから大学に行かせてもらったんだ。

「大学進学」はやりたいことがなかったから

ー高校卒業して一度はロードバイクのプロを目指していたけれど、そのまま「就職」という選択ではなく、「大学進学」を選んだんだね。

僕の場合、小さいころから自分がやりたいこと以外をやるのが苦手だったんだ。逆にやりたいことはやらせてもらってきたんだけれど。自分がやりたいものが定まっていない中で就職をするという選択肢は正直なかった。

たぶん親も大学の4年間を、きちんとやりたいことを確立させる猶予期間として見てくれていたと思う。自分自身、大卒のほうが幅も広がると思ったしね。

 

学生生活

ーその後見事大学に合格して学生生活が始まったんだね!学生生活を振り返ってみて、どうだった?

1~2年生:飲み会か、バイトか

1、2年生の頃は何も考えていなかったかな(笑)周りの人は「将来こうなりたい」とか、「インターンに行っている」とか、そういう話も聞いていたけれど、そういう人たちとは違って、「明日の飲み会がどうだ」とか、「来週のこの集まりがなんだ」とか、そんなことばっかりだった(笑)だから、自分の将来に直結するようなことなんて考えていなかったな。

あとはアルバイトかな。その時はすごく働いていて、月に20日以上はしていたから、あんまり考えることも時間もなかった。

3年生:カレー屋を始める

3年生からはサークル活動がなくなって時間もできたし、その時からカレー屋を始めてそれをメインにやっていたかな。インドカレー屋さんでバイトしていたこともあって、間借りのカレー屋があるという話はちょっと前から知っていたんだ。その話を聞いて、一人で回すのは面白そうだな、と2年生の1月くらいから思っていて。調べていくうちに、意外とその気になればすぐにできると思って、色々メニュー作ったり、場所の手配をしたり始めていた。実際に始めたのは3年生の6、7月とか。

▲お店で出している自作のカレー

 

就職活動

就活生スタートするも6月にドロップアウト

ー3年生はカレーに没頭していたんだね!4年生になると一般的には就職活動が始まるけどどのように動いていた?

みんなと同じように、3年生の3月からやっていたよ。間借りだけをやっていくのはリスキーだし、このままただ続けるには限界があると思っていたから。就職活動も新卒という枠では最初で最後だし、就活をして世の中を知るじゃないけど、可能性を見るという意味でも就活をしていたよ。

でも僕の場合は、6月に受けたところが決まらなくて、いったん就活を辞めたんだ。だから間借りでやるしかないと思いつつカレー屋をなんとなく続けていた。そんな中でお店のお客さんに声を変えていただいて、正直コネみたいなところもあるかもしれないけどその方のお店に入れてもらったんだ。それが決まったのは4年生の11月。だから、決まった時期に就活をしていたわけではなくて、舞い込んできた話という感じなんだ。

 

ー一度就活を辞めていたのは知らなかった!

声をかけてくれたのは、飲食店を経営されている方なんだ。その方は大学の時から独立したいという思いでいたんだけど、お金がないという理由で2年間会社員をやってお金をためて、銀行から融資を受けられる立場になったそうで。

若い人の力になりたいとお話をしてくれて、僕のことを評価してくれたし、僕自身がやりたいことを学べる環境にあると思ったんだ。そのお店は、飲食業コンサルのようなお店で、事業会社って感じかな。

「絶対に就職」ではない

ー聞いていると、就活に対するスタンスがすごくラフな感じがするね!

「絶対に就職しなきゃ」という思いではなく、どこか合うところがあればっていう感じだったね。どこかに引っかかってやる!とか、初任給いくらのところに入ってやろうとか、そういう基準は全くなかった。6月までの就活でも、どこでもいいからたくさん受けるというよりは、情報を拾って自分に合いそうだなと思ったところを受けるという感じ。そういう意味では偉そうだけど、厳選していた。

人それぞれ「ここに行きたい」というのがあると思うけれど、僕の場合は大手とかはどうでもよくて。大きい組織でその中の一人となることが得意ではないから、一人でやりやすい環境を作るのが自分ではあっていると思うし。一企業に入ってずっとやっていこうという考えもなかったから、マイペースにやって決まったのが11月だしね。

 

ーひなたの話を聞いていると、2年間の浪人生活や就活への考え方など、大多数の学生とは違うように感じる!

ひねくれているところもあるんだけど(笑)おとなしく人と同じことをするというのが嫌というのもあって。

高校進学も私立中学から9割が内部進学する中、わざわざ受験して他の公立校に入ったりとか。ずっと英語を習っていたから昔は英語が好きで、国際系の高校に入ったんだ。

親には自由に生きるのを許してもらっていたし、負担は強いていたと思う。私立に行きながら受験をするというのもかなりの負担だから。内部進学できる中学にもかかわらず、塾にも行って受験もしてって「私立費用」と「塾の費用」の両方がかかっていたからそこはわがままさせてもらっていた。

一つやろうと決めたらその先のことはめちゃくちゃ考えるけど、やることを決めるのはその場の直感で決めてしまうタイプだと思う。

コロナ禍の不安

ーコロナ禍で飲食業界は苦境にあるけれど、そういった心配はない?

今は間借りという状況で運がよかったけれど、この先こういう事態になっても対応する自信というのはあるんだ。というのも、お店を持つこと事態はリスクがあるけれど、その中でやれることをやっているお店というのはたくさんあって。業績を上げているまではいかないけれど、影響を抑えているお店はたくさんある。

僕自身もデリバリーをやったりして回避しているし、そういう術は色々あるから。だから、コロナが不安とか、そういう理由でやめるとかはないかな。前回の緊急事態宣言の時(4/7~5/24)は一日20件ほどのデリバリーの注文をもらって、一日中運転していたよ。

こういう状況の中で、カレー屋になると母親に言ったときはさすがにいやそうだったけどね。日本の飲食店って、特に個人店は儲からない仕組みになっているし、そういう意味では不安だったと思う。でも就職すると言ったら一応は安心していたかな。

これからの展望

ーとても心強いね!今後就職して独立するという目標があるけれど、これからの展望を教えて!

カレー屋さんっていうとCoco壱番屋(以下、ココイチ)があるよね。ココイチっておうちカレーの完成形だと思っていて。でもカレーにも、ラーメンやピザのようにジャンルがあるし、そういう中でココイチとは違う何かを広めていけたらな、という思いがあるんだ。その第一歩が間借りでのカレー屋なんだけれど。

将来は、自分が厨房に立って料理を作るつもりはあまりないんだ。「自分が作る」ことに価値はあんまりないと思っていて、ありきたりだけれどたくさんの人に食べてもらって喜んでもらえることが大切だから。そういう意味では規模を大きくして、触れてもらえる母数を増やしたいと思ってる。

 

ーひなたの作るカレーはおいしいからきっと大丈夫!自分なりの人生を歩んで就活も終えたひなたから、コロナ禍で将来に不安を抱える学生に一言お願いします!

なにかしら生きていくすべを獲得している人は就職が絶対、という考えにならないと思うし、そういう考えにならないほうが僕は色々な可能性が見えると思うんだ。僕の場合は、就職先に価値を見なくて、「そこで何ができるようになったか」とかを大事にしたいと思っているよ。

独立をして夢を実現する彼がとても楽しみです。彼の作るカレーは絶品なので、ぜひ読者の皆さんも一度訪れてみてくださいね!

今回は、コロナ禍就活といわれる中「将来の自分像」と戦う皆さんにこの記事が届くことを願って執筆をしました。気負いすぎず、視野を広く待って将来と向き合ってくれたら幸いです。

抱え込みすぎず、でも前は向いて頑張る皆さんの「きっかけ」になることを願っています。

writer:みやび

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