【課外活動】「大学に縛られなくてもいい」―サステナビリティの分野で活躍する大学生

就活

今回の先輩大図鑑は津田塾大学4年生の小澤茉莉さん。

今年度、1年間の休学を経て大学に戻ってきた小澤さん。彼女が所属しているゼミに1学年後輩として所属していた筆者は、図らずも小澤さんと「同期」になりました。しかし、今はオンライン授業で気軽に雑談をできるきっかけもなく…。筆者は、「『エシカルファッション』というものを扱う団体で活動しているみたいだけど、どんなことをしているんだろう?話してみたいな…」と思っていました。

 いわゆる「学生」の域を飛び越えて幅広く「サステナビリティ」の分野で活躍している小澤さん。今取り組んでいることや、今までの道のり、そして将来のビジョンまで…様々な視点から、彼女の行動力の源泉を紐解いていきます。

「TSU.NA.GU.」とは?「エシカル」とは?

ー現在エシカルファッションブランドTSU.NA.GU.で活動している小澤さん。TSU.NA.GU.とは一体どんなブランドなのでしょうか?

アパレル産業は労働、環境、廃棄とかいろいろな面でシステムに課題を抱えていると思う。TSU.NA.GU.は、それを乗り越えるために受注生産や生産背景の透明性を発信したりして、エシカル消費の推進につなげる生産・消費の形を探究しているよ。

この考え方が生まれた背景として、「ファストファッション」の流行があります。手が届きやすい価格で最近の流行を取り入れることもでき、まさに学生の味方。筆者もよく利用しています。しかし、その低価格の背景に目を向けると、労働者の人権や環境への配慮に欠け、多くの課題を抱えたアパレル産業のシステムが見えてきます。エシカルファッションは、まさにこの課題を乗り越えたアパレル産業のシステムをつくっていく取り組みなのです。

▲藍染で染めた靴下。TSU.NA.GUでは、藍染などの地域に根ざした日本のものづくりを大切にしている。

 

 

 

 

参考:TSU.NA.GUホームページ

サステナビリティを考え続ける今までとこれから

ー実際にエシカルファッションブランドTSU.NA.GU.で活躍している小澤さん。もとから「エシカル」「エシカルファッション」への関わりや知識があったのかと思いきや、この業界に足を踏み入れたのは、意外にもちょっとしたきっかけからだったそう。

高校の時から女子校だったんだけど、身の回りにパワフルで行動的な女性が多かったの。それとは裏腹に、世間的には女性が社会であまり”活躍”できていないというような「女性像」が語られることもあるということを知って、そのギャップを感じていたから、女性のエンパワメントにもともと興味があったんだ。

そう思っていた時に、女性起業家関連のイベントをきっかけに、タイのFolkcharmというエシカルファッションブランドを知ったんだよね。自分自身の好奇心から始まったんだけど、Folkcharmのことをもっと知りたくなって、実際にツアーに参加してタイに訪問したよ。

Folkcharmでは、その地域に根付いた素材や方法で生産を行っていたり、生産者と消費者が実際に交流できるのも素敵だなと思ったんだよね。そこで見たコミュニティのようなものづくりの形を日本でも実現出来たらいいなと思いながら帰国したんだ。

 

ー「気になる!」という好奇心から、現地の訪問まで実現した小澤さん。そこから今の活動にはどのように行き着いたのでしょうか?

帰国してから、「エシカル」「日本」のキーワードで検索していた時に、Liv:raっていう草木染のランジェリーブランドを見つけたんだ。実際に連絡を取ったことがきっかけで、代表と実際にお話しする機会ができたの。代表の目指していきたいビジョンにとても共感して、代表が構想を練っていたTSU.NA.GU.に自分も参画することになったよ。 TSU.NA.GU.の活動を始めたのが3年生(2018年)で、実際にエシカルファッションの活動をする中で、エシカルやサステナビリティの世界をもっと見たいなと思って、4年生になる年(2019年度)、1年間休学した。そこからTSU.NA.GU.の理事にもなって、実際に運営やシステム的なところにもより深くかかわるようになったんだ。

一般社団法人TSU.NA.GU. ホームページ

ー3月に大学卒業を迎える小澤さん。彼女が考える、将来のビジョンとは…?

エシカルファッションの活動を通して、もっとものづくりの「現場」を知りたいっていう気持ちが増してきたよ。特に最近気になるのは、服を作れば作るほど、環境が再生していくっていうアプローチ。エシカルを考えていくと、廃棄につながらないためには物自体を作らない方が良いのでは…?という考えに至りやすいと思うんだけど、もっと色んな人の多様なクリエイションを私自身も応援したいし、一緒に関わりながらやっていきたい、という気持ちが強くて!

卒業したら、TSU.NA.GU.の活動を続けながら、今も活動しているライターの仕事を続けていこうと思ってるよ。準備できたら、大学院にも進学したいな、とも思っているよ。

私は「フリーランス」という働き方も良いと思っていて。自分の発想や創造性を大切にしながら、「類は友を呼ぶ」みたいに、心から共感できる仲間もできると思ってる。「就活」だけが全てではないし、今はどんどん働き方も多様になっていて、フリーランスみたいな働き方ももっと増えてくるんじゃないかなって思ってるよ。

「大学に縛られなくてもいい」―行動するヒント―

ーちょっとの好奇心から、どんどん活動の幅を広げてきた小澤さん。「学生という立場で、こんなこともできるんだ!」と驚いた方も多いのでは?そんな彼女の行動力の根底にある考え方を聞いてみました。

私は、何事も興味や違和感を持ったら行動してみることが大事だと思う。その中で、自分が「波に乗る」感覚だったり,人の縁を感じていくことが大切だな、と個人的には思ってる。

あとは、「大学卒業したら就職」「〇年後までに~をする」とかあまり焦って決めたりしなくていいと思うんだよね。そういうことを考えすぎてしまうと生き急いでしまって、今の時間を大切にできない感じがして。自分の中に実現したいと思えるビジョンさえあれば、もっと自由に、どこにでも行けると思う。変に取り繕ったりせずに、自分が共感できる場所や活動に関わっていければいいんじゃないかな。

大学って、学生生活の中でいちばんのびのびできる場所だと思う。社会課題に対して何か行動を起こしたいっていう「外」に向けるエネルギーに敏感になる時期だと思うけど、同時に自分の「内側」が求めていることにも目を向けるのって大切だな、と私自身今も思ってる。感覚的に、これが良いな、とか、これは違うな、みたいな。

自分の感覚に正直になりながら、「大学生」という立場に縛られすぎずに、もっと自由に考えて行動してもいいと思います!

<関連リンクまとめ>

TSU.NA.GU.:https://www.tsunagu-fashion.com/

Folkcharm:https://folkcharm.com/

Liv:ra:https://livra.theshop.jp/

IDEAS FOR GOOD「エシカルファッションとは・意味」:https://ideasforgood.jp/glossary/ethical-fashion/

「ファッションブランドを経営している」―その言葉だけ聞くと、自分とは遠い話のように思えてしまうかもしれません。でも、そこに至るきっかけを聞いてみると、大学生にとってとても身近なことを経験していて、急に親近感がわいてきた!という人も多いのではないでしょうか。何もないように見えて、実は身近なところにチャンスがたくさん転がっているのかもしれませんね。「何かしたい、けど何から始めればいいのかわからない…」と思っているそこのあなたの「手がかり」になることを願っています。

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