今回ご紹介するのは、大阪に住む大学生のSonneさん。Sonneさんは、大学3年生のときに編入試験を受け、大学と専攻を変えました。現在は、大阪大学人間科学部に3年生として在籍しています。
Sonneさんがどのような経緯で編入をしたのかを知ることで、大学の学びのあり方を知ることができると思います。
大学での学びに不安がある方、今所属する大学や学部とのズレを感じている方は、ぜひご一読ください!
編入までの生活
大学受験
ーSonneちゃんは、大学受験のとき、どうやって志望校を決めたの?
理由はいくつかあるんだ。まずは、理系の大学であること。私は理科が苦手だったから、本当は文系の大学に行きたかったんだけど、親に「理系しかだめ」って言われてたから、国立大学の理系を選んだよ。それと、実家から遠い場所にある大学を選んだ。私は親と仲が悪いから実家からできるだけ遠いところに行きたくって。
私は九州出身なんだけど、二次試験の前期で落ちたら九州に残らなきゃいけなかったから、絶対に受かるって思えるところに出した。私はずっと自信がなくて。
ーそうなんだ。じゃあ最初の大学は、1番行きたかった大学ではないけど、絶対受かるっていう確信をもてたから受験を決めたってこと?
うん。私は本当は別の大学に行きたかったんだ。でも、受験に失敗して実家の近くにいなければいけないっていうのは、1番行きたかった大学に行けないってことよりもっと嫌だなって思ってた。
編入前の大学生活
ー結果、第一志望ではない大学に入ったということだけど、そこでの生活はどうだった?
まあ楽しかったかな〜。すごく田舎だったから「大学生らしい楽しさ」ではなかったけど、普通な日々でした。さっきも言ったけど、私は理科がめちゃくちゃ苦手なの。なのに理系に行ったから、勉強面は相当きつかった。成績も出席はあること前提でテスト一発だし。でも、実家を離れられたのは本当によかった!!!!
自分を理解するための学び
自分を形成してきた家庭とその心理的影響
ー勉強面で大変だったみたいだけど、それ以外の部分ではあらかた満足っていうところかな?そのような状況のなか、いつ編入しようって決意したの?
そうだね。私はずっと自分に自信がなくて、なんでかな〜って深く考える時期があったの。自信がなくて、大学1年生のときに自殺も考えてた。そして大学2年のときに、どうして何をしてもこんなに自信がないのかな、自殺したいと思うほどなのかなっていろんな本とかネットとかの情報を使って調べてたんだ。
そしたら、とある人のブログにたどり着いて、自分は親から虐待を受けていたっていうことに気がついたんだ。自分の家庭はただ仲が悪いだけだと思ってたけど、普通じゃない家庭だったんだって気づいた。それからは、心理学にすごく興味が湧いて、もともと文系に行きたかったし、心理学にいこうって思ったよ。
ーそうなんだ。Sonneちゃんとは大学生になる前から知り合っていたけど、そんなふうに考えている時期があったなんて知らなかった。
(インタビュアーと同じ)予備校に通っていたときもずっとそうだったよ!予備校時代の日記は、本当に毎日「死にたい死にたい死にたい」で、それしか書いてない(笑)
大学選び
ー人の心ってそんな簡単には見透かせないものだね。難しい。それで専攻を心理に決めて、大学はどうやって決めたの?
今所属している研究室には先生が2人いらっしゃって、そのうちの1人の先生が被害や被害のケアを専門にしている人で、もう1人の先生が加害を専門にしている人なんだよね。それでやっぱり被害をとらえるには絶対に加害の視点も必要だなって思ってて、今の大学だったら被害も加害も学べるかなって思って受験する大学を選んだよ。あとは地元と大学があるところが飛行機で繋がってるから。
ー大学は実家からできるだけ遠いところがよかったんじゃないの?
その考えはあったんだけど、大学1年の時に祖父が亡くなって、でもそのとき会えなくて。嫌いな親のために地元から遠いところに行って、大事な人から遠くに離れるのは違うなって思ったの。だから大学を選ぶときには、地元と飛行機で繋がっているところとか、行きやすいところにしようって思ってた。
編入試験は「ノリ」?
ー編入って学年も変わったりするから勇気がいると思うけど、どうやって決意したの?
そんな「決意」っていうほどのものじゃなくて、、。ぶっちゃけ全然「絶対合格してやる!」とか思ってなかったの(笑)
前の大学の指導教員にも受かると思われてなくて、「観光のつもりで行ってきなさい」って言われて、入学試験前日も大阪の美術館行って遊んでたし全然「やってやる」みたいな感じじゃなかったな〜(笑)
勉強はしてたけど、頑張っているとかそういうベクトルじゃなくて、普通に好きでやってたし、今もやってる。教育学の先生とも過去問を解きながら話すの楽しかった。「合格に向けてめっちゃやってやる〜!!」って感じではなかったね。だから、編入試験に向けた勉強をいつからしたかっていうのもあまり覚えてないの。
自分を知るために勉強していたら、自然と編入試験に繋がったっていう感じ!
編入と留学
ー興味のあることを好きなだけ自由に勉強するってなんだか「The 大学生活!」って感じだね!じゃあ、勉強については特にキツすぎるとかネガティブな感情を抱いているわけではなかったのかな?
あ〜、でもトビタテ(トビタテ留学Japan)も一緒に受けてたからその準備もしてたし、大学の実習もあるし、バイトも扶養外れないギリギリまでしてたし、普通に忙しかったので病んではいたね(笑)だけど試験勉強がきついことが原因で病むってことはなかった。
実は、親に編入試験のことを言ってなくて、移動費とか受験費とか全部自分で出さなきゃ行けなくて、だからバイトはめちゃめちゃ頑張ってた。
ー1日24時間じゃ絶対足りなそうな生活だね…。編入試験の準備と同時に留学準備もしていたということだけど、留学はいつから考えていたの?
3年生の5月とかかな。トビタテの留学説明会があって、ふら〜っと参加したら、「良いな〜」「いけるか〜」って思って。編入試験もトビタテも3年生での試験だったから、どっちか受かれば良いな〜ってくらいに考えてた。結果どっちも受かったんだけど、留学はコロナのせいでなくなっちゃった(泣)
ーこれから編入の勉強はじめます!っていう人にアドバイスはある?
今目の前にある限りある資源を使ってくださいってことかな。前大学の専攻の先生に言われたんだよね、「授業料払ってるんだから先生も図書館も好きなだけ使ってください」って。だからトビタテの資料とか全部みてもらったし、面接もしてもらったし、編入試験の過去問の添削もしてもらってたし、編入の志望理由書も本当に全部みてもらった。編入試験の合格もトビタテの合格も私の実力ではなくて、先生たちが面倒をみてくださったおかげ!
ーSonneちゃんの素敵なところは、人の懐に飛び込んでいけるところだよね!!!
うん〜そうね〜そうかも(笑)ノリノリ。ノリだよ笑。でもそれである先生に大変申し訳ないこともしたので、恩を仇で返さないことは大事ですね。礼儀は大事!
編入後の生活
ー実際に編入してみてどう?
楽しいよ〜〜!とっても満足してる!!なにより学生のレベルが高いの!みんな頭良くて、休み時間とかも色々議論したりしてて、それがめちゃ楽しい。前の大学では議論とか全くなかったから。そもそも勉強に興味ない人が多かった…。
授業は何をとっても基本的に全部面白い。だから楽しいしレポートも全然苦じゃないし、まわりの人も良いし、総合大学だからいろんな学部の授業も受けれるし、研究のお金も持っていて研究も割と好きなようにはできるし…だから満足はしてる。
あとは、都会だしね〜〜(笑)超大事だと思う(笑)
ー今は具体的にどんなことを勉強しているんだっけ?
戦争と虐待について勉強しています。心理学の方法で研究しようと思って今の大学、学科を選んだんだけど、これからは哲学的なアプローチから研究していこうと思っているよ!
ー心理学を勉強しながら、哲学についても興味を持って研究の方向性を変えていっているんだね!大学生活に満足してないなって人にアドバイスはある?
いや〜でも満足してない人でも行動しない人はしないじゃない。だからとりあえず近くの人、先生とかに相談してみるとかとりあえず小さなことでも何か行動してみたら現状打破できるかもしれませんね!
編入試験、トビタテ留学JAPANにも合格したSonneさん。
2つの難しい試験に合格した華々しいお話のように聞こえますが、その背景はただひたむきに前を向いて頑張ってきた姿だけではありません。自分と向き合い、過去を振り返ったことにより興味関心が深まり、行動につながった経験でしたね。
コロナ禍がまだまだ続く今、自粛生活のなかで自分と向き合う時間が増えたと思います。そのなかで憂鬱な気持ちになる人もいるかもしれませんが、それは前進するチャンスなのかもしれません。
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