【休学】「アフリカに行く」想いで決めた2年目の休学

休学

今回の先輩大図鑑は、中京大学の国際教養学部に通う原武和琴さん(以下、わこさん)にインタビューしました!

子供の頃からアフリカに興味のあったわこさんは、「アフリカに行きたい!」という想いで2020年に休学を決めました。しかし、世界的に広がるコロナウイルスの影響で渡航を断念。その年は就職活動を進めながらも、夢を諦めきれずに2021年に2度目の休学を決めました。

休学期間中も新しい行動を起こしながら、常に突き進むわこさん。お話を聞けば聞くほど出てくる彼女の魅力、ぜひ皆さんに届きますように。

 

興味に貪欲に進む

思い立ったらすぐ行動

ーわこさんはとても活発に活動していますよね!

主に「アフリカと日本をつなぐ」というコンセプトを持つNPOで活動をしています。そこではオンラインイベントの運営だったり、仲間内でアフリカの話を共有したりしてます。アフリカ好きの集まりですね!(笑)

あとは生活困窮者支援も行っています。毎週ホームレスの方や生活保護受給者の方に炊き出しを行ったり、月に2回は炊き出しに来ない人にも、駅や公園などを回って食事を提供したりしています。

環境問題にも興味があって、行進やデモにはたまに参加しています。とりあえず、興味あることが多くて!せっかくの休学期間は、色々つまんでやろうと思って手を出してますね(笑)

     ▲気候変動に対するデモに参加したときの様子

ー何事もためらわず挑戦しているので、とても忙しそうに感じます。どのように時間の管理をしていますか?

難しい…!私自己管理がめちゃめちゃ苦手なんですよ。去年4~6月はしっかりステイホームしていて、読書したり映画見たり静かに過ごしていたので、今そのしわ寄せが来ているというか(笑)

なんて生き方が下手なんだろうって思います。興味ある事に片っ端から足突っ込んじゃうんですよね。

最近も、SDGsのアイデアコンテストにエントリーしていたので、そのアイデアを考えていました。偶然見つけたものだったんですけど、面白そうだなって思ったら後先考えずにやってしまうから。

アフリカは「運命」!?

常にアクセル全開という感じですね!国際教養学部というグローバルな環境にいるけれど、学部選びとアフリカ好きはどちらが先なのですか?

これは変な話なんですけど、小学生の時から頭にずっとアフリカがあったんです。「自分はアフリカに行くんだろうな」ってずっと思ってたんです。アフリカっていう単語がニュースで出るとついつい見てしまうみたいな。

だから「いつから」っていうのは分からないな…。好きになった理由はうまく言えないけど、もう運命かなって思います(笑)でも、アフリカの貧困問題とかを小学生の頃に見て、「どうしてこんなにも日本と違うんだろう」と思ったのはきっかけの一つだと思います。

中学とか高校は部活に入ってそっちにのめりこんでいたのでアフリカは頭の片隅にある程度でした。大学生になるときに、「やっぱり私はアフリカが好きだな」と思って、まずはグローバルな学部を選んだんです。あと私の学部はフランス語をメインでやっているので、アフリカ好きならフランス語は知っておかないとと思って!

だから順番的には、まずはアフリカが大前提であって、そこから大学選んだみたいな感じですね。

ホームレスの支援。きっかけはコロナのおかげ?

ー生活困窮者支援を始めようと思ったきっかけは何ですか?

きっかけは、渡航計画が白紙になったことです。このボランティアを始めたのが昨年の5月なんですよね。休学して「よし、アフリカ回るぞ!」というときに渡航が無理になってしまって。

そこで考えたときに、自分はアフリカばかりに夢中でアフリカの貧困問題にすごく興味があったけど、自分の身の回りはどうなんだ?ということに気が付いたんです。

そこでたどり着いたのがホームレスでした。貧困問題を考えるなら生活困窮者の問題は絶対に知らなくてはいけないと思いました。もちろん自分も存在は知っていたけど見て見ぬふりをしていたと思うんです。

でもそれはおかしいでしょ自分、アフリカにこだわるのではなくてみんなが笑顔で暮らしてほしいから自分もやらなきゃなって思ったんです。そこで検索して一番上に出てきた団体に行ったんです。連絡もせずに飛び込んだのにとてもウェルカムな団体だったので、今も続けていますね。

だから、コロナをきっかけに日本の頃を見る機会をもらえた気がして、なんか良かったかなという気持ちです

▲炊き出しの様子①

 

ー人の支援というところに関心があるように感じました。休学をきっかけに中に目を向けて、行動に移したんですね!

自分は別に何もすごいことしていないのに当たり前においしい水が飲めて、ご飯が食べられる。それができない人がいるっていうのは、それはもう何かしなきゃって。

おかしいですよね、ただここに生まれたからこういう生活があるだけで、生まれた場所が違うだけこんなに差があるのはだから何かしたいんですよね、悲しいですもん。平和に暮らしている裏側で困っている人がいて…無視しちゃいけないな、と思います。

▲炊き出しの様子②

 

「頑張った」から喜びを感じられた学生生活

1~2年生:アルバイト漬けの日々

ー休学期間中にも「やりたいこと」に忠実に行動していたんですね。1,2年生の時はどのように過ごしていたのですか?

とにかくアルバイト漬けの日々でした私と同じような関心を持っている人って、学生団体とかボランティアをやっていることが多いんですけど、私は全然そんなことなかったです。

2年の秋にフランスに留学していたから、1.2年の時は学費と留学費を貯めることに精一杯で、ずっとバイトしてましたね。その頃はバイトしなきゃ大学いけない!っていう状態だったから。

▲フランス留学で見たマルシェ

ー学費も留学費も自分で払ったのですね!学生の鑑ですね。

いやいや、朝までバイトとかして授業中寝ちゃうみたいなこともあったから本当ダメですよ(笑)

でも、バイト漬けの日々に疑問を感じるようになったんです。きっかけは2年生の9月から3か月間のフランス留学でした。私はそれが初海外だったんですけど、「やっぱり世界良いわ」と思ってから「バイトばっかりしてちゃダメだ」と思いました。

それからはバイトもほどほどにして…ほどほどって言っても、学費高いんですよ!(笑)だから休学する前は誇れるようなこと何もしてなくて、本当にバイトだけだったんです。海外に行きたくてバイトしてたけど…うーん、バイトしかしてなかったな、やばい!(笑)

親の手は借りませんでした。でも今思うと、そうやって頑張ったからこそ楽しめていると思います。大学生活も、毎日朝早い時間に学校に行って、図書館が閉まる時間までいました。

自分で学費払っているし、その環境がありがたすぎて。だからきっと親から学費払ってもらってる人より楽しめていたのかなと思います。フランス留学も学生生活も、自分で頑張ったからこそ楽しめてるし、喜びをかみしめられるなって

▲留学先の大学

ーバイトはどのようなことをしていたんですか?

ケーキ屋さんでの接客とか、リゾートバイトとか新聞配達とか…これがきつくて!朝2時に家出て1時間半かけて新聞屋まで行って、1時間半新聞配って。で、朝の6時くらいに学校に着くから1限まで仮眠、みたいな生活を1年くらい。

あとは短期の夜勤とか、エアコンの清掃…?工具使ってヘルメットかぶって作業着着て、みたいな。色々やってました。お金ないのに好きになったのが海外渡航ってもうなんでこんなもの好きになったんだとか思ったりしますけど(笑)

▲リゾートバイトの寮

ー珍しいバイトがたくさんで驚きました…!

人がやってないことをやるのが好きなんでしょうね。居酒屋とかはあんまり興味がなくて。普段なじみのない仕事場だからこそ、楽しいし気づきがありました。自分が寝ている間にこうやって色々な人が働いているんだと。

知らない世界が見られて、より感謝の気持ちが強くなるというか、こうやっていろいろな人が働いてくれているから自分が成り立ってるんだって。それを知れるのが楽しいです。

3年生:勉学と向き合う

ー3年生の頃はどのように過ごしましたか?

3年はもっと勉学に向き合おうと思ってバイトを減らしました。海外にはいかなかったけど、穏やかな日々を過ごしていましたね。しっかり勉強しなきゃなって思って。だから何もないですよ、すみません(笑)

でもやっぱり、勉強できる喜びをそこでも噛み締めてましたね。バイトしてると常に眠かったから、静かに机に向かえるのうれしいな、みたいな。だからほんと、アルバイト漬けの日々も、結局は良かったなって思うんですそういう幸せを感じられたから。

 

コロナ禍での渡航中止

1度目の休学の決断

ー1度目の休学を決めたのはいつ頃ですか?

12月にフランス留学から帰ってきて、3月にウガンダという国に行ったんです。もっといろんな国に行きたいと思いました。それで、一度目の休学を決めました。

▲初のアフリカ渡航、ウガンダ着!

高校の先生がウガンダにいたので一人で行ったんですけど、すっごく良かったし、楽しかったです。でもウガンダに行っただけで「アフリカに行った」って言いたくないと思ったんです。自分が好きなのはあの大きなアフリカ大陸だから。

▲ウガンダで持った木材(とっても重い!)

渡航計画が白紙に

ー4年生を休学し、決めていたアフリカ渡航ができなくなってしまいました。その時はどんな気持ちでしたか?

なんとなく、無理かなっていうのがあったからある程度の覚悟はできてたんです。やっぱり計画が0になるのは結構ショックでしたけど、意外とすっきりしていました。それまでずっと行けるかどうかの不安があったけど、行けないと決まった時は「よし、次!」という感じで結構切り替えてましたね。

まぁ、そんな焦らなくてもいいかなと思ったり。うーん…色々見つけていくか、と思ってました。

 

ー昨年4月から休学してみて、どうでしたか?

休学、結構良いですよ。自分のやりたいことが出来たので、休学に対しては前向きです。だからまた4月から新しい休学の1年が始まるのは楽しみですね。

日本の中で生きていると、休学2年に驚く人は多いけど、海外とか周り見渡すと意外とね、普通です。確かに、24歳でまだ学生やってるのかとは思うけど、海外なんてみんな歳気にしてない。

しかも、「コロナだからしょうがない」という言葉で片づけても良いと思うんです。2年目でも誰も悪くない。休学2年するって言うと驚かれるけど、全然すごいことではない気がする。自分がやりたいことがあるから休学するんだし。

2度目の休学の決断

ー確かに、休学に対するイメージが少し変わりました!1度目の休学を経て、2度目の休学の決断をしたのはいつ頃ですか?

うーん…8月9月は結構がっつり就活してたんですよね。自分の頭の中では「休学は1年」っていうのがあったから。でもふと「アフリカ行けるかも」という発想が生まれたんですよね。

もしかして、行けないわけじゃないんじゃない?って。そう思ってからは早かったです。「自分はアフリカに行くんだから、就職とかもう関係なくない?」みたいな。

行けるかもって可能性が見えた瞬間に「あ、これはもう行くわ。休学2年目だ」という感じですね(笑)やっぱり行きたいという気持ちはあって、この休学期間中も行けなくなった分色々な経験してやろうって思って行動してたけど、「行きたい」気持ちは変えられずに。今でも行けるか微妙だけど、行けるかもしれないならトライしてみようという気持ちです。

 

ーわこさんのお話を聞いていると、「行けるかもしれないなら」というのが印象的です。「行けないかもしれないから」と悩む人はいるけれど、本当に前向きな考えですね!

周りもアフリカ行っちゃってるし、自分も早ければ3月に渡航できるかもしれないので!意外と、「行けないわけじゃない」というのを周りから教えてもらったんです。だからたぶん今年行っちゃいますね。

ケニアに住んでいる方と話していたんですけど、来るなら今がいいと言われて。数か月先はどうなってるかわからないから、来るなら落ち着いてる今がいいって。めちゃめちゃ面白いじゃんって思いました。日本だと、海外行くなんてありえないっていう感じだし、周りの友達もそういう雰囲気だけど、行ってもいいんだって思って。

家族も放任主義だから、「そうなんだ」くらい。自分で学費払ってきたというのもあるし、自分がやりたいことを自分の力でやってきたっていうのもあるから。反対とかは全然なかったです。

私、本当に頭の中からっぽで(笑)行きたいところがあるなら行く、という選択肢しかなくて。行かないなら卒業か就職ってなるけど、無理なんですよ。行く人間なんですよね、結局。行くんです。やりたいことやらなきゃいけないと思いますからね。

 

世界平和に向かって「今」を過ごす

目の前のことをやれば、その先につながると信じて

ー休学中の渡航もできるように祈っています!その後の未来予想図はありますか?

夢は世界平和的な、全ての人が笑顔で生きられる世界を作れる人になりたいと思っているんです。でも私の夢はなんて漠然としているんだ、というのが悩みです。

いったい自分は何がしたいのか、具体的なものがないから困るんです。アフリカに行くと言うと、何がしたいのか聞かれるんですけど、ないんです。特にアフリカのどこに行きたいとかもないし。

でもそれでもいいかなって思っています。これから見つかるだろうし、見つからなかったらそれはそれでいいと思ってます。何かしらやりたいことをやっていれば繋がるんじゃないかな。今はもう目の前のことをやるぞって生きてます。

コロナ禍を生きる学生に向けて

ーコロナ禍で行動が制限される中、何かしたいけどどうしたらよいかわからないという学生は多くいると思います。そんな学生に何かアドバイスをお願いします!

そうですよね、今の大学生は私たちもしていない初めての経験をしていて本当に大変だと思います。「コロナで〇〇できなかった」という人も結構多いですよね。でもコロナでやりたいことができないって自分を責める必要は全然ないと思うんです。

そこで、休学なり一回立ち止まって見るっていうのは全然いいことだと思うし、とりあえず「あなたのせいじゃないよ」って伝えたいです。やりたいことが出来なくてもやもやしていても、「仕方ないんだ」っていう軽い気持ちでいてほしい。しょうがない、もうコロナのせいだから。そんな中で気持ちを楽にしてやれることを見つけられたらなって思うんです。

でも本当に大変だよね。「先輩たちは海外行けたのにどうして自分たちは行けないの」とか、どこにもぶつけられないストレスとかすごいと思うけど、どうしようもないから。もしそう思っている人がいるなら、君は悪くないよって伝えたい。そして助けてくれる人が周りにはたくさんいます!お互い頑張りましょう!

▲360度一面の青空

自分のやりたいことにまっすぐ突き進むわこさんのお話を聞いて筆者もエネルギーをもらいました。わこさんの海外渡航がうまくいくことを心から願っています。

お話の中でわこさんが「私の学生生活って薄いですよね」とこぼしていたのを聞き、驚かされました。現状に満足しない姿勢が、常にエンジン全開のわこさんのガソリンだと感じます。

コロナ禍のジレンマで生きる多くの学生に、わこさんの言葉が届きますように。

writer:みやび

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