今回の先輩大図鑑は、アメリカ ニューヨーク州にある エルマイラ大学1年生のTowaさん。
Towaさんは、昨年の9月から約3ヶ月間、実家の新潟県からオンライン授業を受け、そして現在は休学しています。彼女は、どのような心境で、そしてどのような夢を持って今まで過ごしてきたのでしょうか。
海外進学に至った経緯、昼夜逆転のオンライン授業生活、そして将来の展望についてまでざっくばらんに語って頂きました。
海外進学に至った経緯〜葛藤する2人の自分〜
自分が嫌いだった
―現在、Towaさんはエルマイラ大学に進学している訳ですが、海外進学をしようと思ったきっかけは何だったんですか?
高校2年生の時に、先生から誘われて高校の「海外大学進学コース」に所属したことがきっかけですかね。そのコースでは、リベラルアーツに力を入れていたんです。
▲海外大学進学コースで、大学のアフリカの経済社会や文化を知るイベントに参加したとき。
そこでは、音楽史の授業一つ取っても、「歴史」、(楽器の構造を学ぶための)「物理学」など…いくつもの学問が混ざっていることを知って、自分の考え方がいい意味で変わっていきました。
―どのように変わっていったのでしょうか?
それまで私は、相反する2人の自分がいたんです。
「東大に行かなければ、(大学に行く)意味がない」という学校の校風や日本社会に洗脳されながら、偏差値を上げるために一生懸命勉強する自分。
そしてその一方で小学生の頃からやってきたミュージカルで、心と体のあらゆるエネルギーを使い、表現することを楽しむ自分。
この2人の自分が、それぞれとてもかけ離れた世界にいるように感じていて、とにかく自分が嫌いでした。本当の自分はどこにいるんだろう?って。
▲小5で初めてオーディションを受けて参加したミュージカル。自分の原点となった作品。
でも、海外大学進学コースに所属してから横断的に学問を学ぶようになって、この2つの世界にいる自分は両方本当の自分なんだと気づくことができました。
勉強を好む自分も、ミュージカルを楽しむ自分も、別々のものではなくて混ざり合って私のオリジナリティを作りだす要素なんだなと。
そこから自分を好きになることができたんです。
そんな経験から高校2年生の春休み頃から漠然と、ばらばらだった自分を結びつけてくれたリベラルアーツを大学でも学びたいなと思うようになりました。
▲高3の夏、学年全員の前でTEDトークをした。タイトルは ”Love Love Yourself”。まさにこの記事にも書いてある2人の自分がいて苦しんでいたことについて話し、どんな自分も愛すべき自分だということを伝えた。
新潟から世界へ🔥
―多くの人が「1年間の留学」を選択する中で、Towaさんが「4年間の正規留学」を選んだのはなぜだったのでしょうか?
まず、1年間の留学だと短すぎると思ったんです。交換留学などから帰ってきた先輩が口を揃えて「あっという間だった。」、「やっと慣れてきた頃だったのに。」と言うのを聞いて、私も1年じゃ満足できないだろう。折角だったら4年間海外に身を置きたいなって思ったんです。
特にアメリカは、自分が小学校からやってきたミュージカルの世界最高峰の場所でもあり、そして同時に自分が勉強したいリベラルアーツの授業が受けられる環境でもありました。
ミュージカルとリベラルアーツ。この2つがある「アメリカ」で4年間学ぶのが自分にとって一番最適かなと考えました。
―友達や両親など、周りから反対されませんでしたか?
実は、私の自分の生まれ育った故郷は一面に田んぼが広がる田舎なんです。そのため、情報も限られていて海外大学に行くという発想を持っている人はあまりいませんでした。
▲魚沼産コシヒカリの生産地でもある地元。実家の周りはとにかく田んぼだらけ!そして、牛も豚も馬も狸も…!小学生の頃、同級生が「俺今日の朝家の裏で猿と遊んできた」って言ってた(笑)
私の海外進学について眉をひそめる人も少なからずいましたが、それが逆に「(海外進学)やってやるぞ!」っていうスイッチを押してくれるきっかけになりました(笑)
家族は、反対することはなく、むしろ応援してくれました。ただアメリカの大学に進学する費用はとても高いので、両親には複数回プレゼンをしながら少しずつ海外進学に向けての課題を解決していきました。
―進学に向けて家族にプレゼンをしたということだけど、それ以外にも海外進学のために取り組んだことはありましたか?
アメリカは成績だけではなく、課外活動も重視しているので、入学のための試験対策と、それに加えて課外活動も積極的に行っていました。
元々アクティブな性格だったので、アメリカ進学を決める前から、全国のEnglishキャンプに参加したり、国際交流イベントで司会・通訳をしたり、特別支援学校の運動会のお手伝いをしたり、相撲の秋場所でご飯盛りしたりもしてました(笑)
▲新潟市の国際交流イベントで通訳をさせていただいたとき。部活(英語ディベート部)のみんなと、2日間泊まり込みでハードスケジュールを乗り切った!
―おー!すごいアクティブ!高校生の時から色んな活動をなされてきたんですね。そのような進学への準備を経て、今の大学に志願したんですか?
実は、全部で10大学に志願していて…!その中でも今決めた大学は第5志望だったんです。費用の関係で両親と相談した結果、今の大学を選んだのですが、結果的にはとても満足しています。
というのも、私の在籍するエルマイラ大学は、1学年300人の少人数の大学なので、教授との距離が近く、オンライン上でもとても親身になって教えてくれるんです。
1学期は、シアターやファイナンス、アジア史など学問分野を超えた幅広い科目を取っていました。
▲Towaさんが1学期に取っていた授業の時間割
―まさにTowaさんが学びたかったリベラルアーツですね!
そうですね!次の学期では、生物学や環境学も取ろうかなと思ってます!
オンラインでのアメリカ留学、そして休学という決断
昼夜逆転のオンライン授業
―去年の9月からついにアメリカ留学が始まった訳ですが、残念ながらコロナは収束せず、オンライン授業になってしまいました。そのような中でアメリカに行かず、オンライン上で授業を受けようと思ったのはなぜだったんでしょうか?
とにかく早く授業を受けたかったからですね。でも実際に日本からオンラインで授業を受けるのは、とてもしんどかったです。
―オンライン授業の時は、具体的にはどのようなルーティンで一日を送っていたんですか?
実家からオンライン授業を受けていたので、完全に昼夜逆転してました。夜の21時から朝の6時まで授業を受けて、8時ぐらいに寝て、13時に起きてバイトに行くっていう生活スタイルでした。
弟が小学校に行くときに「おはよう」の代わりに「お姉ちゃん、おやすみ〜」って言われるのが日課でした(笑)
▲オンライン授業を受けていた時の1日の流れ
―うわ〜想像するだけでも大変な生活ですね。
本当に大変でした…。生活習慣も大きく変わりましたし、家族と住んでいるのに1人でいる時間がとても増えました。メンタルも結構やられましたね…。
それ以外にも、学部がシアターなのにダンスやお芝居の授業が取りづらいなど、オンライン授業の限界を感じるようになって、1月からは1学期分だけ休学することにしました。
今年の4月からは現地で授業を受ける予定です。
休学という決断「今は準備期間」
―現在は休学中ということですが、どのような生活を送っているのでしょうか?
今は準備期間ですね。
学費を稼ぐために旅館でバイトをしたり、英語以外の言語ツールで世界中の人と関わりたくて中国語の勉強をしたり、強くなりたいという理由でボクシングを始めたりもしています(笑)
自分の将来に向けて色んなことを探求しています。
ソーシャルアーティスト〜アートで世界を良くしたい〜
日本の諸問題の解決|子供が「自分」を知る活動をしたい。
―先ほど将来のお話が出たと思うのですが、Towaさんは将来どういう未来を思い描いているんでしょうか?
高校の頃から自分が言っていた夢は「ソーシャルアーティスト」ですね。「アートで世界平和を実現する」っていうことが今でも自分のテーマです。
そのためには、「自分とは何者かを知る。」っていうのがすごく大切だなと思って。
2人の自分が乖離していた時代にも繋がるんですけれど、自分は、偏差値でしか自分を測れない日本の社会システムに支配されていた時に、リベラルアーツやミュージカルを通して変われたんです。特に本当の自分を知れたのってミュージカルをしている時だったんですね。
▲中2で初めてソロの役をもらった。この頃から、お芝居を通して自分の強さや弱さを知る感覚を得るようになった。
こうした私自身の体験のように、将来ミュージカルを通して、子供たちにも自分と向き合って、自分が何者かを考える場を提供するのが夢です。
あと、もう1つの夢としては、高校の海外大学進学コース時代に国際交流イベントにも参加したことがきっかけで国際関係学にも興味があるので、外務省で外交官として働くことのも良いなと思っています。
母の言葉 “Life is musical!”
―なるほど、素敵な夢ですね!Towaさんならどちらの夢も実現してくれそうな気がします。こうした考えに至った、自分に影響を与えた人の言葉は何かあるんですか?
自分を変えてくれたなと思うのは母の言葉です。母は私がいろいろ悩んでいた高校時代に「人生は舞台でしょ!Life is musical! 」って突然言い出して(笑)
「あなたが(自分の人生の)主役で、ディレクターで、音響で、衣装係で、あなたが全部(自分の人生を)作るんだから前を向いて進みなさいよ。」と言ってくれたんです。その言葉が今でも自分のモットーになっています。
現在オンラインで授業を受けている大学生、そして新大学生へ一言!
―Life is musical! とても背中を押してくれる素敵な言葉ですね!最後にTowaさんからも現在オンラインで授業を受けている大学生、そして新大学生に向けて一言お願いします!
今はすごく大変な時期で、私自身前向きになれない時とかも全然あります(笑)
そういう時は「自分を知る時間を作ろう!」って伝えたいです。例えば、SNSからちょっと離れてみて、ノートを一冊開いて、ペンを持って、自分は今何をしたいのか、社会の何に怒りを感じているのか、誰を助けてあげたいのかっていう自分の心の声や価値観、思考を整理する時間をとると、少しだけ心が楽になるんじゃないかなって思います!
そうやって一緒にがんばりましょう!って伝えてあげたいです。
▲今まで使ってきた自己分析ノート。
ミュージカル、そしてリベラルアーツとの出会いによって、自分のモヤモヤしていた気持ちと向き合い、自分を肯定的に捉えられるようになったと語ってくれたTowaさん。
「自分を知る時間を作ろう!」という最後の言葉がとても印象的でした。
自分のことはよく知っているつもりでも言語化しようとすると、意外に難しいと感じる人も多いのではないでしょうか?
この記事が、これまでの自分を振り返り「自分」を言語化するきっかけとなれば幸いです。
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