今回の先輩大図鑑は、津田塾大学国際関係学科3年のまなさん。
彼女は志望していた協定校留学を見事勝ち取り、約8ヶ月間アメリカのインディアナ州にある大学へ長期留学を経験しました。
彼女は念願であった留学を通じて、何を感じ、何を学んだのか、長期留学のリアルを包み隠さず語っていただきました。彼女の留学生活が詰まった素敵な写真も必見です!
留学への憧れ
▲留学先の友人との一枚
ーまなさんはアメリカでの長期留学を経験したけど、いつ頃から留学に興味を持ち始めたの?
中学の頃からいつか留学してみたい!って漠然と思っていたよ。昔から英語が好きだったし、英語を勉強するのが楽しかった。それで高校2年生では思い切ってカナダでの2週間のホームステイに申し込んだの。
ホストファミリーにも恵まれて濃い時間を過ごしていたんだけど、「異文化交流楽しい!」っていう気持ちと同時に、自分の語学力不足を痛感した。
もっと語学力を伸ばして英語でのコミュニケーションを楽しみたいなって想いが強まったよ。それで大学受験では、英語教育に力を入れていたり、多文化共生を学ぶことができる国際系の大学や学部に絞って受験をしていたかな。
ー留学と一言で言っても、私費留学や協定校留学など様々な選択肢があると思うんだけど、なんで協定校留学を選んだの?
大学の協定校留学って枠が決まっていて、誰でも行けるわけではないのね。英語のスコアが必要だったり、大学内での筆記試験や面接を突破しなきゃいけなかったり。
準備は大変だけど、だからからこそ、協定校留学だと大学や先輩からのサポートが受けられたり、費用が少し抑えられる点で魅力的だと思ったかな。
あとは、同じ大学へ留学した先輩の留学体験記もたくさん残っていたから、留学前に留学先の情報を得ることができて、より生活を具体的にイメージすることができたよ。
その体験記を熟読したこともあって、私の場合は現地に行った時のギャップはそれほどなかったかな(笑)
留学前って本当に色んなことが不安で仕方なかったけど、私は同じ大学へ留学した先輩と連絡を取ることで、わからないことや不安に思っていることを一つずつ解決することができた。
留学への不安
ー晴れて協定校留学への切符を手にしたんだね!おめでとう!留学が決まってからはどんな気持ちだった?
実際に留学することが決まってからは、正直少しモヤモヤした。ずっと夢だったことが急に現実になったからか、不安に駆られたんだよね。長期間日本の友達と離れることとか、5年生で卒業することとかも不安だったな。
その他にも留学の奨学金を取ったり、入学手続きなどやることが一気にたくさん増えていっぱいいっぱいな気持ちだった。
ーなるほどね。その不安はどうやって取り除いていったの?
入学手続き、寮の手続き、海外保険の加入、ビザの取得などあらゆる留学前の準備を1人でやらなくちゃいけなかったのね。
留学先の大学と英語でメールのやり取りを何度もしたり、膨大なタスクをこなしていくことは確かに大変だったけど、一つ一つ確実にこなしていくことで、心の準備ができたというか。自然と不安は薄れていったかな。
むこうに行っても、どうにかなるって考えるようになった。出発直前では、楽しみな気持ちが大きくなっていったよ。
いざ留学へ
理想と現実のギャップ
ー念願の留学だったと思うけど、実際の留学生活はどうだった?
正直、最初は心から楽しめていたわけではなかった。留学当初は英語力がすごく高いわけでもなかったから、授業中に先生が話していることや宿題さえもよく分からないことがあった。
私が留学生であるということは、すぐにクラスのみんなに理解してもらえたけど、成績重視のアメリカではグループワークで留学生の自分と組もうとしてくれる人はいなかった。
自分から積極的に動きたかったけど、成績をキープしたいっていう学生の気持ちもわかるし、自分も迷惑かけられないなという気持ちがあったんだよ。
だから授業では、どう周りの学生と関わっていいんのか分からなくなって孤独を感じていたこともあったな。
▲留学先の大学前で
ーどうやってその孤独から抜け出したの?
そうだね当初は、日本語じゃなくて、英語だから話したいことが思うように伝えられないんだ、とか英語が下手だから友達も増えないんだって思って落ち込んでいたの。
ずっと孤独を自分の英語力のせいにしてたって感じかな。でも留学生担当の先生と話していた時にそれは違うってことに気づかせてもらえた。
‟You are more than just an exchange student.”って言葉をかけてもらってハッとしたのを今でも覚えてる。そのあとも続けて、
「確かに周りにとっては、あなたは交換留学生というレッテルが貼られている学生かもしれない。けれど、あなたは英語を勉強しているだけの学生じゃないの。新しい未知な環境に自ら飛び込んで勉強している、勇敢で行動力がある学生なのよ。
だから、‟周りと比べて英語ができない”っていう側面だけじゃなくて、もっと自分のポジティブなところにフォーカスしてあげたらいいじゃん。」
って言ってくれもらえたの。今思うと、自分はただ周りに併せて笑っているだけのシャイな子って周りから思われていたんだろうなって。
全て英語力のせいにして、留学生ということ以外に、自分はこういう人だよっていう部分を上手に表現できてなかったんだって気付ことにかされた。
▲ルームメイトからのメッセージ
あと、その頃の私にとって、ルームメイトとの関わりが深かったことが大きな救いだった。国際寮に住んでいて、ドイツ人の留学生とアメリカ人2人の4人で共同生活をしていたんだよ。
家に帰れば、みんながリビングに集まっていて、「今日はどんな1日だった?」って必ず聞いてくれて、和気藹々と過ごせていたの。
ルームメイトがホーム感を出して受け入れてくれたからこそ、皆んなのいるリビングが心のよりどころになっていたかな。
日本人との関わり方
▲キャンパスの様子
ー留学先での、他の日本人留学生とどのように関わるかは、多くの留学生が悩むと思うんだけど、まなはどのようにしていた?
私の留学先にも日本人留学生はそこそこいたよ。それでやっぱり最初は、日本人同士でかたまることは英語習得の妨げになるんじゃないか、とか考えたりもして、お互いにあまり密に関わり過ぎないように意識してた部分はあったかな。
けどだからこそ、ある日本人留学生とは、お互いの一週間がどうだったか話し合う機会を週に1回ほど設けていたの。
そこでは、1週間の出来事をとことん話して、互いを褒め合ったり、課題を見つけあって、次週の目標を立てたりもした。
その話し合いで、友人から客観的に自分を見てもらうことで、自分では気づいていなかった自身の性格や語学力の伸びに気がつかせてもらっていたかな。
▲現地のイベントに参加した際の様子
例えば、私の最初の目標は「先生の話していることを理解する。」だったの。
でも次第に自分の目標は「授業中にしっかりノートを取ること」→「議論に積極的に参加すること」→「授業でAを取ること」っていうように、どんどん高くなっていってたの。
これは指摘されるまで気づかなかった。自分では気がつかない間に少しずつ確実に成長していることがわかって嬉しかったな。この定期的な話し合いで気付かされる成長は自信にも繋がったし、留学のモチベーションにも繋がったよ。
あと、日本人の正規生(※日本の大学からの留学生ではなく、現地の大学に直接入学している学生)からもたくさん刺激をもらっていたよ。同じ日本人だけど、日本では出会ったことがないような人が多かった。
具体的には、学歴だけでなく、自分の引き出しや話の種をたくさん持っている人、自分自身を理解していて自分を表現するのが上手い人が多かった。そしてなにより皆が皆、心から優しくて尊敬できる人たちだったの。
周りの日本人がいつも困った時は助けてくれたんだよね。そこでも安心感が生まれたし、みんな頑張っているから私も頑張ろうって思えた。
日本語クラブの学生から学んだこと
ー留学先ではどんなことに取り組んだの?
授業以外に、サークル活動として日本語クラブでの活動に取り組んだよ。毎回のクラブの企画を通じて、みんなで日本文化を体験したり、おしゃべりを楽しんでいた。具体的な活動内容としては、剣道体験や、おにぎり作りなどがあったよ。
日本語クラブの活動ももちろん楽しかったんだけど、何よりそのクラブに所属していた学生がみんな本当にいい人たちだった!
言語を学んでいる人は留学生の苦労をよく理解してくれて、新しい言語を習得する難しさをわかってくれた。
中には「英語の伸びに悩むのではなく、言語を学ぶその過程をもっと楽しむといいよ」とアドバイスをくれた人もいたの。どの言葉もあったかくて、勇気がでるものばかりだったなぁ。
あとは日本語クラブの友人は私の英語をすごく褒めてくれたんだ!
周りが褒めてくれたから、自分自身でも、英語上達しているのかな、と前向きな気持ちになれた。自分のことをもっと褒めてあげてもいいんじゃないかなって思えるようになったよ。
▲友人と一緒にスキー旅行
留学先での大きな転機
親友アビとの出会い
▲留学中よく一緒に過ごしていた2人とのカフェでの様子
ー留学を通じて気づいたことは何かあった?
アメリカに来てから、友人作りに悩んだ時に、人が寄ってくる人ってどんな人だろうってすごく考えたんだよね。アメリカ人って本当にみんな自信があるの。
その時に自分に自信がある人が魅力的に見えるなって気づいたんだ。具体的には自信がある人っていうのは、頼れるし、自分で自分の良さをわかっている人だと思う。
アメリカ社会では、自分に自信がなかったらやっていけないとも感じた。自分に自信がある人にサポーターが寄ってくる社会であって、必ずしも困っている人を助けるために人が集まる社会じゃないから、自分で行動しないと何も始まらないんだよね。
自分が思っていたほどアメリカ人は日本人の自分に興味はない。だからこそもっと自分の魅力を自分で認めて、自分自身を発信していこうって決意したんだ!
▲アビの家族と過ごしたクリスマス
そうしたら驚くほどすぐに友達がたくさんできたの。それで私を留学生として仲良くしてくれるのではなく親友として接してくれる友人に出会えた。それがアビ。アビに出会ってからは、本当に人脈がどんどんが広がった。彼女の家にも何度か呼んでいただいたから、アメリカでの一般的な休日の過ごし方や伝統的なクリスマスを体験させていただいたよ。
私の中で日本人以外にアビという絶対的な存在がいたことは本当に大きかった。頑張らずに自然と英語を話せていたから、本当の留学生活を楽しめるようになっていったの。彼女には本当に感謝してる!!
充実した留学後期
▲友人とドライブに出かけた際の写真
ー留学前期と後期で変わったことは?
留学後期は日本語クラブだけに頼るのではなく、他の国からの留学生や同じ授業を受けている学生にも自分から積極的に話しかけるようになったよ。そうすることで友達の幅がさらに広がっていったんだ。
自分が本当にしたかった異文化交流がようやくたくさんできるようになって嬉しかったな。
留学を通じて、自分を認めて、自分を好きになることを学んだよ。自分を見つめ直す期間が長かった分、しっかり自分と向き合うことができた。だからこそ留学後期は毎日が本当に楽しくて、自分幸せだなって心の底から思えていたよ。
コロナで緊急帰国
▲ホームステイ最終日にアビと撮った写真
ー1番楽しくて充実していた時期に新型コロナウイルスの影響で緊急強制帰国が決まったけど、その時はどんな心境だった?
毎日めまぐるしい勢いで状況が変化していったから、なんとなく心の準備はできていたけど、できるだけ長くアメリカに居たいと思ってたな。
でも、嫌なことばかりじゃなかったよ。寮や学校、周りの飲食店などほとんどが一気に閉まっていって、困っていた時に、アビの家族が私をお家に呼んでくれてたの。
そしてしばらくお家に住まわせてもらえた。コロナのおかげって言ったら不謹慎かもしれないけど、帰国前にコロナだからこそ体験できたこともたくさんあったかな。
最後に
ー読者にメッセージをお願い!
私がみんなに伝えたいのは、自分で自分をたくさん褒めてあげてほしいってことかな。自分を好きになればポジティブにもなれるし、自分に自信がつくと思うの。
日本人は謙虚であろうとするけど、自分を謙遜し過ぎて自分の良さに気づけないのは勿体無い。自分の頑張りを一番理解してあげられるのは自分だからね。
何をするにも自分を全否定するのではなく、自分のできる部分とできない部分を見つけることが大事。
自分をまずは認めてあげて、今の自分には何ができて何ができないのかを考えれば、足りない部分が自然と見えてくると思う。
そしたら、その足りない部分を補えばいいし、自分が本当は何がしたいのかも分かってくるはず。
あと、もっと周りに弱さを見せてもいいってことも伝えたい!強がったりせずに、自分に正直になることが大事だと思う。自分のことを大事にしていて、自信がある魅力的な人には自然と必ず人が寄ってくるからね。
▲留学中のお気に入りの一枚
まなさんは決して英語力のせいにせず、自分自身と向き合い、自分を発信していくことで、留学当初の孤独から抜け出し、かけがえのない友人と共に充実した留学生活を送ることができました。
8ヶ月という長いようで短い期間で、親友を作るというのは決して簡単なことではありません。
誰にでも優しく、いつもポジティブで、想像力が豊かで、世界一(筆者からみて)ユーモアがある彼女だからこそ、アビさんとかけがえのない親友になれたのだと思います。
また、それと同時に、日本のみならず国境を超えても、自然と多くの人を惹きつけている彼女は、もうすでに十分“魅力的な人”であるとも感じました。
この記事が留学を目指す方だけでなく、自分に自信のない方や自分との向き合い方に悩んでいる方々の何かのきっかけになれば幸いです。
Writer: Lily
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