【大学院】「自分の人生に満足している」 ―吹奏楽に熱中した大学生活と大学院進学という選択―

サークル活動

今回の先輩大図鑑は東北大学大学院修士課程1年生のちさとさん。先輩大図鑑初の大学院生へのインタビューです!

文系学生は理系学生に比べ、大学卒業後に大学院進学という選択をする人は少ない傾向にあります。読者の皆さんの中には、「進学に興味があるけど、なかなか周りに話を聞ける先輩がいない…」「就職と進学で迷っている」「そもそも、大学院生ってどんな人たち?」と思っている方もいるのではないでしょうか?

インタビューの冒頭、「自分の大学生活を語るうえで外せないことは?」と聞いてみました。すると、ちさとさんは「卒論の研究とサークル!」と即答。そこで今回は、この2つのキーワードから、ちさとさんに進路選択に関するエピソードや大学院生になった今の生活、そして大学時代のお話まで、たくさん語っていただきました。

「進学」という選択と大学院生になった今

ちさとさんは授業や卒業論文にとても熱心に取り組んでいた印象があります。

純粋に授業が面白くて、卒業単位とかに関わらず、たくさん授業を履修してたよ。そのおかげか、卒業の時に大学から賞を頂くこともできたの!すごくうれしかった。

授賞式の様子

ー現在、東北大学大学院修士課程1年生のちさとさん。文系で大学院進学を選ぶ人は少ないですが、進学しようと思ったきっかけは何だったのでしょうか?

大学院へのぼんやりとした憧れも持っていたんだけど、3年生の途中から自分が(卒業論文で)やっていた研究がどんどん面白くなってきたのが大きいかな。学部生の時は都内の私立大学(以下、Q大学)に通っていたんだけど、進学した東北大学は、大学受験の時の第一志望校だったから、そのリベンジみたいな気持ちも少しあったのかも。

でも、大学院進学と就職は迷ったよ。大学院に行きたい気持ちもありつつ、やっぱり就職したほうがいいのかな?とも考えたりして。3年生の春休みは周りの同級生と同じく就活もしてたよ。就活をしている中で、やっぱり大学院に行きたいという気持ちが強くなっていって、進学に方針転換した。でも、就活も経験したからこそ、自分の本心に気付けたと思っているよ。

▲大学院進学の大まかな流れ(文系)

ー数ある選択肢の中で、進学先はどのように選んだのでしょうか?

大学院進学を希望する人は研究室訪問に行くと思うんだけど、私は東北大だけでなく、東京周辺にある大学も含めて7つの研究室に行ったよ。訪問した時期は秋の試験にはギリギリの7月くらい。最初、東北大のある研究室(以下、A)に進学しようと思ってたの。でも、実際Aに訪問して先生に会ってみると、「ちょっと合わないのかも?」と思ってしまって。自分の中では「Aがいい!」と思っていたから、急に道を断たれた感じで途方に暮れちゃった。

その後東京に帰って、もう一度東北大を調べていた時に、2020年から新しく発足する研究室(以下、B)があることがわかって、そこが自分のやりたいことと合っていたんだよね。それで、Bの先生に連絡を取って、もう1回東北大に行った。そこがとても自分に合っているなと思って、受験することを決めたよ。それで、ありがたいことに合格を頂いて、今Bに在籍して研究を進めているよ。

 

ー文系大学院生の生活は想像がつかないという人も多いはず。ちさとさんは今どんなことをしているのでしょうか?

大学院って学部と比べて取得しないといけない単位は少ないのね。だから、前期のうちに(単位を)たくさん取ったよ。前期は研究発表で自分が学部生時代に書いた卒論の内容についてプレゼンしたよ。卒論の時から人の死に向き合うようなテーマを考えてきて、同じテーマ修士論文でも深めていこうと思ってるの。

色んな受け止め方があるテーマだから、自分が修士論文で主張したいと思っていることを論じるためには自分とは逆の立場や、別の分野からのアプローチについても勉強する必要があるって指摘を受けて。さらに勉強していかないといけないなと感じてる。

修士課程修了後は博士課程に進学はせず就職しようと思っているんだけど、後期では修士論文を進めつつ就活も進めていこうと思ってる。今は、学部生の時に出版社でアルバイトをしていたのもあって、出版社とかマスコミにも関心を持っているよ。

▲大学院進学後の進路(例)

サックス一色の大学生活

ソロパートを演奏するちさとさん

ー学部生時代は吹奏楽サークルでサックス担当として活動していたちさとさんですが、大学入学まで、吹奏楽の経験はなかったそう。高校までの部活動での経験者も多い吹奏楽サークルに、なぜ入ろうと思ったのでしょうか…?

そもそもQ大学は第1志望ではなくて、東京に来たのも本望ではなかったんだよね。だから、入学当時はやけくそになっていたのかもしれない(笑)。たまたま授業でできた友達が吹奏楽サークルに入ろうとしていたのがきっかけで私も見学に行って、雰囲気がとてもよかったから入ることを決めたよ。

  

ー筆者はちさとさんのサークルの後輩です。筆者から見たちさとさんは、大学から始めたとは思えないほどサックスが上手で、とても練習熱心な印象でした。小さなきっかけで吹奏楽サークルに飛び込んで、どこからそんな熱量が出てきたのでしょうか? 

1年生の間は言うほどサークルに熱を注いでいたわけではなくて。でも、1年生の冬にあった定期演奏会で、同じサックスパートの同期達がみんなそれぞれ活躍する場面を持っていて、その姿を見てモチベーションが上がったんだよね。「追いつきたい!」みたいな。そこから一生懸命練習しだしたよ。 

自覚はないんだけど、負けず嫌いって言われる。多分、何か心に迫る出来事があるとエンジンがかかるんだと思うんだよね。その出来事がその演奏会だったのかな。

 

ー吹奏楽サークルに入ってよかったと思いますか?

心からよかったと思ってる。熱中できるものがあるとやっぱり楽しいし、今振り返ると、大学生活はサックス一色だったなって思うよ。あと、高校時代は親友と呼べるような友達ができずに終わってしまったんだけど、サークルの人たちは男女とか関係なく仲が良いし、そんな大切な存在ができたことが自分にとってはとても大きかったかな。

サークルの仲間と海外旅行

「焦る必要はない」ー今の大学生へのメッセージ

ー読者の皆さんの中には、第1志望ではない大学に入学してあまりモチベーションが上がらないな…と思っている人も多いかもしれません。ちさとさんはQ大学が第1志望ではなかったという話をしていましたが、大学を卒業した今、大学生活の4年間を振り返ってどうですか? 

今はQ大学に行って本当に良かったと思っているよ。もちろん、第1志望に受かっていたらそれもまた別の人生があったかもしれないけどね。大学生活を通して、先生や友達との出会いだったり、自分が追求したいと思える研究テーマに出会えたこともよかったなと思っていて、今の自分の人生に満足しているよ。あとは、上京してきたことにも意味があったと思っていて。いろいろな場所にすぐアクセス出来たり、経験のチャンスも増えたから、東京に来てよかったなとも思ってる。

 

ー今、大学生に伝えたいことはありますか? 

大学1年生の皆さんは時に、大学院生ですが私も1年生なので、(コロナ禍の状況で)辛いことはとても共感します。今は先が見えないし、とても不安だけど、思うように動けないのはみんな一緒。どうしても焦ってしまうのだけど、きっと焦る必要はないです。私個人としては、今年は「生き抜けば100点!」くらいの心の持ちようでいようと思ってます(笑)。気を張りすぎずに、一緒に頑張りましょう。

「今の自分の人生に満足している」―これは、筆者がこのインタビューを通して特に印象に残った言葉です。人生の中には大なり小なり様々な選択がありますが、そのどれにも絶対的な正解はないのだと思います。しかし、吹奏楽に研究にまっすぐに取り組んできたちさとさんの口からこの言葉を聞いた時、「ちさとさんは自分なりの『正解』を選び取ったのだな」と感じました。

読者の皆さんには、進路選択で迷いを抱いている人もきっと多いはず。皆さんが自分なりの正解を見つけられるよう、そして、この記事が少しでもその「手がかり」になるよう願っています。

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