今回の先輩大図鑑は、フィリピンのドゥマゲテで海外ボランティアを経験した中央大学4年生のすずさん。
筆者とすずさんは高校からの友達で、いつもはくだらない話ばかりしていますが、今回は真面目に彼女の価値観や考えについて話してもらいました。彼女はなぜ国内ボランティアではなく、海外ボランティアを選んだのか。
また、なぜ大学と連携しているボランティアではなく、民間のボランティアを選択したのか。そして海外ボランティアを通して、彼女が学んだことなど海外ボランティアでの1ヶ月を振り返ってもらいました。
民間の海外ボランティアという選択
ーすずさんはなぜボランティア活動に参加しようと決意したのですか?
まず、私のお母さんが飼い主のいない犬を次の飼い主が見つかるまで家で保護する保護犬のボランティアをずっとやっていたんだよね。だから、ボランティアは昔から私の生活の一部みたいなところがあって、私もいつか何らかの形でボランティアに携わりたいなって考えてたの。
ーなるほど。ではなぜ国内ボランティアではなく、海外ボランティアを選んだのですか?
理由は2つあって…
1つ目は、私は大学で国際政策文化学科に所属しているから東南アジアの歴史と文化について学んでいることもあって、東南アジアに興味があったんだよね。
2つ目としては、英語を勉強してたから、実際に英語を話していろんな人と交流してみたいって思ったからかな。
ーすずさんは大学が連携しているボランティア先ではなく、民間のボランティアを選んびましたが、それはどうしてですか?
学校と連携している海外ボランティアは東南アジア系があんまりなかったんだよね。あと、大学が提供しているプログラムは保護動物に関わるものが多くて。せっかく行くなら、動物と関わるよりも、たくさんの人と関わりが持てるようなボランティアが良いなと思ったからかなあ。
情報収集は自分で徹底
ーすずさんはどのようにしてそのボランティアを探し出したのですか。
私はインターネットですごく調べたかなあ。たくさん調べて、それぞれを比較しながらいくつかに絞っていった。そして、インターネットの情報だけではわからないことがたくさんあったから、気になったところには自ら話を聞きに行ったよ。
ーなるほど。気になったらまず行動するっていうのはすごくすずさんらしいですね。ところですずさんは海外ボランティアでどのようなことをしたのですか?
大学1年生の春休みに1ヶ月間フィリピンのネグロス島にあるドゥマゲテに行ったよ!
▲すずさんが海外ボランティアで滞在したフィリピンのネグロス島にあるドゥマゲテ(参考:google map)
インターナショナルスクールのようなフィリピンの高校に行って、そこで様々な国籍のボランティア学生が授業を行うのね。私はそのボランティアで、主に2つのことをしたよ。
1つ目は日本語の授業とディベートの授業を担当した。同じボランティアの学生として、フランス人、インド人、韓国人、カメルーン人など様々な国籍の学生がいたよ。
2つ目は、その高校は色々な海外の高校と提携しているから、提携先の高校からフィリピンに1週間くらい異文化交流として語学キャンプに来るんだけど、それを開催するために行政へ企画書の提出と許可取りを行った。
▲生徒の一人が発表している授業の様子
大学提携と民間の海外ボランティアの違い
ーすずさんは今回民間の海外ボランティアに参加したということで、大学と提携しているボランティアと比べて、どんなメリットがあったのでしょうか?
まず、学校との連携ではないから自由度が高い点。大学のものからだと選択肢が少なかったけど、民間だと自分がやりたいことを選べるところ。あと、日本人が少ない点かな。私が行った時は、日本人の参加者は私だけだった。だから、コミュニケーションを取るためにずっと英語を使う環境に居れたよ。ちなみに費用は民間のボランティアも大学のものも同じくらいだったよ。
ー逆に、民間海外ボランティアのデメリットは何かありましたか?
圧倒的に情報量が少ない点かな。今までそこにボランティアに行った日本人が3人だけだったみたいで、情報が本当に少なかった。学校の雰囲気やどんな生徒に会えるのかは、いざ行ってみるまでわからなかった。その点が少し不安だったな。
学んだことは「コミュニケーションの大切さ」
活動面での苦労
ー約1ヶ月という期間ボランティアをしていたすずさん。きっと大変なこともたくさんあったのではないでしょうか?
あった!活動面で言うと…フランス人の学生2人と一緒にイベント担当していたのだけど、その時シンガポールから留学生がたくさん来ていて、忙しい時期だったの。2人のフランス人が期限が迫っているものを終わらせずにすぐに帰ろうとしたり、やる気がなかったんだよね。
モチベーションがない人と一緒にイベントの準備をするのは大変だった。だから、ダラダラやるのではなく、1日の目標を毎日決めてそれに向けてメリハリをつけて仕事をすることを提案したよ。そしたら、みんなやる気が出て、なんとか期限内にイベントの準備を終えることができた。
▲フランス人の友人と活動後に観光した時の写真
(最終的には先ほどのフランス人の学生と、とても仲良しになったよ!)
あと、あるトピックについて話し合うディベートの授業で司会進行役を担当していた時のことなんだけど…
私がトピックを毎回探して持ち寄るのだけど、ディベートの授業なのに、話が逸れたり、話が全く進まないことがあったのね。そこでそれはなんでだろうって考えた時に、もしかしたら自分が興味あるものは現地の生徒たちにとっては興味がなかったのかもしれないって気づいたんだよね。
それからは、自分の思い込みでトピックを選ぶのではなく、授業前や後に生徒たちとたくさん雑談をしたり、話し合うことでみんなの興味があること探っていきながら、トピックを考えるようにしたよ。そしたら、ディベートは盛り上がって、みんな楽しそうだった!
生活面での苦労
生活面での苦労は、お風呂が大変だったなあ。シャワーが付いてなくて、たくさんの水が貯めてあるところから、桶に水を汲んでお風呂に入ってた(笑)お湯なんて出ないから、夜は寒くて凍えていた。
あと、家に窓がなくて網戸だけだったのね。だから隙間だらけで、めちゃくちゃ虫が入ってきた。パンを買ってベットに置いたままボランティアに行って、家に帰ってきたら、ベット一面がアリだらけだったこともある(笑)
ーなかなか大変なことも多かったんですね…。逆に、海外ボランティアで楽しかった思い出などあれば教えてください。
ボランティアのメンバーと一緒にフィリピンのスナックへ行ってお酒を飲んだこと。知らないお酒たくさん飲めて楽しかった!あと、生徒達と天然の温泉が湧いているプールへ行ったことも楽しかったなあ。
▲生徒たちと一緒にプールに行った時の写真
ボランティアが終わったら個人的にセブ島で1週間ほど旅行してのんびり過ごそうとしていたんだけど、仲良くなった生徒達にオススメの島をいくつか教えてもらったのね。だから、教えてもらった5つの島を訪れてみた。
▲ボランティア後のひとり旅で生徒オススメのシキホール島を訪れたすずさん
ーボランティア活動の時だけでなくプライベートな時間もみんなと過ごすことが多かったんですね。たくさんの経験をされたすずさんはこの海外ボランティアを通してどんなことを学んだのでしょうか?
すごくすごく単純なことになってしまうかもしれないんだけど…
どこへ行ってもコミュニケーションが一番大事だってことに改めて気づいたかな。例えば、授業だけじゃなくて、休み時間や放課後などの授業の前後にもいっぱい生徒と話すことで信頼関係を築いた。
そうすることで、授業中にちょっとつまずいた時でも周りが助けてくれた。言語が違っていても人といっぱい喋ってコミュニケーションを取って相手のことを知ることは何に置いても大事だと感じた。
コミュニケーションを取るっていうのもそうだけど、ディベートの授業を担当した時に学んだ、相手のニーズを汲み取る傾聴力は後にバイトでも活かされたよ。私はKALDIでバイトをしているのだけど…ワインの試飲で何本売らなきゃいけないっていうノルマがあった時に、自分やお店がオススメしているワインを売るだけではなくて、お客さんがどういうワインを飲みたいのかを聞き出してそれを見つけてオススメすることができるようになった!おかげでノルマも楽々達成できるようになった!
あとは、日本が大好きになった(笑)めちゃくちゃ快適だから。お風呂ではシャワーが付いてて、温かいお湯も出るし、網戸だけじゃなくて窓も付いてるし(笑)
ー海外での生活を経験し、海外から日本を見つめ直したからこそ日本のよさにも気づくことができたのですね。それでは、最後になりますが、これから海外ボランティアを目指す学生達に一言お願いします。
海外ボランティアは留学よりも簡単に挑戦できるから興味がある人はぜひ挑戦してみてほしい。このボランティアがきっかけで、海外に友達ができたり、コミュニティが増えたりしたのは自分にとってすごく良い経験だったから!
民間の海外ボランティアには大学が勧めているボランティアよりも選択肢の幅が全然広がるから、民間の海外ボランティアを選ぶことも視野に入れてみてほしいな。
▲ボランティア活動のメンバーと一緒に最終日に撮った写真
すずさんはフィリピンのドゥマゲテで1ヶ月の間に経験した様々なことを語ってくれました。終始笑顔で話してくれたことから、充実した1ヶ月を過ごされたことがよく伝わってきました。
「インターネット上の民間の海外ボランティアは信頼できるのかわからない…」と、最初から選択肢の幅を狭めてしまっていた方も多いのではないでしょうか。確かにインターネット上の情報は必ずしも正しいことばかりではないため、鵜呑みにするのはよくないでしょう。
しかし今回、すずさんが気になった民間ボランティア団体にコンタクトをとって直接話を聞きに行ったように、自ら積極的に情報収集をすることは可能です。
すずさんが最後に言っていたように、民間ボランティアはみなさんの選択肢を増やすことにつながるかもしれません。みなさんが自分にあったプログラムを見つけられることを願っています。
この記事が、みなさんの可能性を広げるきっかけになることができれば幸いです。
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