【学生起業】「繋がり」を体現するために、自分と向き合い変化を続ける

長期留学

今回の先輩大図鑑では、ヴィーガン(ベジタリアンの中でもより厳格な完全菜食主義者)とノンヴィーガンを繋ぐ学生団体“Vecipe“の代表を務める明治大学2年生の起業家パンダさんにお話を伺いました。

起業家パンダさんは自身を「ブリッジデザイナー」と名づけ、「繋がり」を自ら体現すべく、さまざまな活動に取り組んでいます。

もともとは引っ込み思案だったという彼ですが、留学を境に視野が広がり考え方が一変したと語ってくれました。現在はオンライン留学を行っており、常に前進する姿勢が魅力的です。

「繋がり」を求めて

架け橋になる

ー今は明治大学の2年生と伺いました。現在コロナ禍でどのような生活を送っていますか?

大学生活を送りながら、起業に向けて活動をしています!最近はカリフォルニア大学バークレー校で起業について学んでいます。だから今は起業とオンライン留学の2本柱で活動をしています。

 

ー起業に向けて、オンライン留学もなさっているのですね…!興味深いです。SNSを拝見したところ、様々な活動をされているようでしたが、「ブリッジデザイナー」という言葉を初めて見ました。

ブリッジデザイナーというのは、「架け橋を作る人」という意味なんです。自分でつけました。

「何かの架け橋になりたい」という思いで、さまざまなプロジェクトを行なっています。人材・教育系であったり、留学支援、食品系のプロジェクトなどです。

自分自身、今まで理解し合えなかった者同士が繋がる瞬間にとても感動するんです。それもあってか、言語や人種を超えて、見返りを求めないフリーハガーの活動動画を見る度に何故か号泣します。昔から「繋がり」が好きだったので、自分で「ブリッジデザイナー」と名付けました。

 

ーすごく素敵な言葉ですね…!「繋がり」に興味を持ったきっかけなどがあるんでしょうか?

過去に受けてきたいじめが影響していると思います。僕は中国人なんですけど、日本でも中国でも言語的障壁と文化的障壁によっていじめを受けた経験がありました。その中で当時救われたのが、「ことば教室」という日本語を学べるところで、自身を肯定されたことです。

それまでずっと片言の日本語しか話せなくて、先生からも他の生徒からも理解されず時にはいじめを受けていました。でもことば教室の環境だけが全てを肯定してくれて、言語問題関係なく優しく包み込んでくれました。自身のステータス、肩書きに拘らず繋がれることば教室で初めて日本人に心が開けるようになって日本語も3ヶ月で身につけることができました。今考えるとあのことば教室で周りの人と『繋がれた』経験がなかったら今の自分はぐれていたと思います (笑)

▲いじめを受けていた頃の日記

現在の活動

ー過去の経験で「繋がり」を大切にするようになったのですね。そんな「繋がり」を目指してさまざまな活動をされていますが、具体的にどのようなことを行なってきましたか?

国際交流委員会という留学支援プロジェクトの代表を務めて明治大学の日本人学生と留学生を繋ぐイベントを積極的に開催してきました。文化背景と言語を超えてみんなが繋がり合える空間をデザインできる事がとても楽しかったです。

人材・教育系でも、悩みを持っている方と悩みを聞いて深掘りしていく方をマッチングさせたいです。自分の心を開かせてくれたことば教室のように、どんな悩みを言っても受け入れられる環境を作り、弱みをさらけ出す事を通してみんなが無条件に繋がれる環境を作りたいです。

中でも今一番力を入れているのがVecipeという食品系のプロジェクトです。ヴィーガン・ノンヴィーガン関わらず、誰も肩書きにとらわれずに食卓を囲い、対等に繋がる事を通して、それぞれの『個性』を尊重できる社会を作っていきます。

原動力は志望校不合格

ー大学2年生で色々行なっていてすごいです!そのエネルギーはどこからくるのですか?

大学4年間を充実させてやる、というのがエネルギー源です。自分は元々東京大学を目指していたのですが、志望校には行けませんでした。その時に『明治大学は東大には勝てない』と周りから言われ、大学というレッテルで自身の価値を否定されたんです。負けず嫌いな自分は、もう一度明治大学と東京大学の2択を選ぶとしても自信持って明治大学を選べるようひたすら新しい事にチャレンジし続けています。

ただ、1年生の夏までは毎日お酒を飲んだり友達と遊んだり、ザ・大学生みたいな生活を送っていました(笑)受験生活の反動ですね。ターニングポイントとなったのが、1年生の夏に行ったカナダ留学です。1ヶ月だけなんですけど、それからは一変しました。

自分を変えた留学

「自信があるふり」で自信を持つ

ーカナダ留学ですか!どのように変わったと実感していますか?

カナダのトロント大学に行ってからは本当に視野が広がりました。自分はクラス決めのときに英語の成績が上位3位だった事もあって日本でも学べそうなイングリッシュコミュニケーションコースではなく、ビジネスコミュニケーションコースに転入しました。

でも人前で話すとすぐに顔が赤くなってしまうので、プレゼテーションを何度もやらされる授業は当初はとてもハードなものでした。その時に今では恩師の担当教員に出会い、自分のプレゼンテーションへの捉え方が変わって視野が広がりました。今でもその時の言葉は忘れません。「スピーチにもっと自信を持っているふりをしなさい」「全てのスピーチ内容を覚えようとするな」「すぐ諦めず、もっと反復練習をしなさい」この3点を意識したら、すごく英語のスピーチに自信が持てるようになりました。

日本に帰ってからも、元々原稿を見ながら淡々としか話せなかったスピーチをアイコンタクトを取って原稿なしで自信のあるフリをしてスピーチをしたら英語の教授に褒められて、成績もSをもらえたんです。それで自分が本来一番苦手とする人前で話す事を乗り越える経験をする事ができ、とても自信がつきました。

 

ー自分で自分を変えていったのですね…!すごい行動力です。

その後も英語でスピーチできるところがないかと思って探していたら、当時同じフランス語の授業を受けていた友達にハルトプライズという世界最大級の起業家養成大会を勧められました。

カナダで学ぶことをアウトプットできるいい機会だと思い、やるなら中途半端が嫌いなので、とことん向き合って、本気で取り組みました。そのお陰もあって、なんとか大学一年生にしてビジネス大会において明治大学の代表チームに選ばれました。このビジネス大会で自分より上の年齢の方のチームのリーダーを務め、勝ち取った成功体験が契機となってリーダーの責任感ある仕事に達成感を感じるようになりました。今考えるとカナダでプレゼンテーションという自分の苦手分野が得意分野にならなかったら、ここまでリーダーシップを取って、人前に出て発信するようにならなかったと思います。本当に当時一歩踏み出て、留学に挑戦して良かったです。

▲ビジネス大会ハルトプライズ

ヴィーガンとノンヴィーガンを繋ぐ

ーそういうことを通して、様々な場面でリーダーシップを取るようになったのですね。中でも今力を入れているのが食品系のプロジェクトと言っていましたね!

ヴィーガン、ノンヴィーガン関わらず、みんなが1人の個性として対等に尊重し合える環境を目指しています。

もともと留学支援のプロジェクトで出会う学生にヴィーガンの方が何人かいて、その方達のライフサポートをしたことがあったんです。その頃からヴィーガンというワードを聞くことが多かったのですが、決め手となったのはビジネスコンテストでした。テーマとしてヴィーガンを扱った際に、ヴィーガンの方にヒアリングしていて、その悩みが深刻だと感じました。

▲ヴィーガンを知ったきっかけ、国際交流委員会での留学生支援

留学支援の際も、一緒に外食をするにしても、枝豆とご飯しか頼めないという状況がありました。留学生は「自分のことは気にしなくていいから」というんです。みんなでご飯を食べても、一人だけ違う食事をしている。それって、同じ空間にいてもみんなで対等に楽しめているとは言えないし、食を通した「繋がり」が持てていないと思うんです。この状況にすごくモヤモヤしていました。

僕が目指しているのは『人を枠組みやレッテルとしてではなく、1人の個性として見る』という事です。自分自身過去には『中国人のスパイ』だの『日本鬼』中国人や日本人の方から罵詈雑言を受けた時期がありました。でも中国人や日本人として見るのではなく、『お前はお前だ。それ以外の何者でもない』という風に1人ひとりの個性が尊重される社会を作り上げていきたいと思います。

レッテルで人を見なければ、マイノリティーもマジョリティーも無くなるし、健常者と障害者のくくりもなくなり、みんながみんな違って当たり前の社会になります。それが双方向で良好なコミュニケーションができ、対等な『繋がり』を作る上での前提条件になります。そこまで落ち着けばみんな違うんだからから理解しようと努めるのではなく、理解できない前提でお互いに認め合う多様性に溢れた社会が出来ると思います。自分としてはそこを目指しています。

起業を選択するわけ

ー素晴らしい志です。その目標を達成するにはさまざまな方法があると考えますが、なぜ起業という選択をしたのですか?

自分としては「起業をしよう」というよりは、ヴィーガン認知とインフラ整備が拡充されてなさすぎると思ったんです。いくらおもてなしを重視する社会とは言っても、現状を目の当たりにしたときに、食を含んでいないのは包括的なおもてなしとは言えないのではないかと思いました。それを解決するための最適なツールは何かを考えたときに起業だと思いました。

起業を通して、自分の体現したい『枠組みに囚われず、一人ひとりが尊重し合える社会=自身を含めた在日外国人等のマイノリティーとマジョリティー関係なく、対等な機会が保証された社会』を作っていきたいと思います。

正直起業はうまくいかないこともめちゃくちゃあると思います。諸説ありますが中小企業庁によると、8割の企業は5年後にはなくなると言われています。しかし学生起業する人はバイトをする人に比べて数としては圧倒的に少ないので、希少価値が高い方をとったほうが自分の市場価値をあげることができると思います。そこから色々な人との繋がりができて社会的理解が生まれれば、自分のやりたい同志と一緒に自分の体現したい多様性に開けた日本社会に向かって躍進していけると強く思っています。

ー今はまだ2年生ですが、これからの目標はありますか?

直近では自身の団体Vecipeが社会的信用を獲得できるよう、登記をしたいと思っています。その際にきちんと自律した経営者として一方的に吸収をする学生のスタンスではなく、双方向でwin-winの価値を提示する事ができる事業者になっていきたいと思います。更には、質だけでなく目に見える数字にも価値を与えられるよう、財務スキルもしっかりとつけていきたいと思います。


▲Vecipeの目指すノンヴィーガンとヴィーガンが食を通して繋がる社会

コロナ禍でオンライン留学

ー冒頭にオンライン留学について伺いましたが、詳しく聞かせてください!

2020年の秋に留学自体が延期になって、2021年の春にオンラインで留学をするのか、秋まで待って状況次第でオンラインと対面どちらかで留学をすることを選択できました。

せっかくカリフォルニア大学バークレー校という審査が比較的厳格なところを通ったし、そのためにTOEFLも一生懸命勉強したので、このチャンスを大切にしたいと思いました。今はYcombinatorというシリコンバレーによってバックアップされた起業家育成コースで1年間、一流の社会起業家になるべく日々特訓をしています。

色々な人に折角だから現地に行って学びなよと言われましたが、自分の目的は現地に行って言語習得する事ではなく、あくまで世界で一番起業が盛んに行われているシリコンバレーの起業ノウハウを身につける事だったのでオンラインでも十分に出来ると思いました。直ぐに学んだ事を自身の事業に還元できるように日本にいた方がコストパフォーマンスがいいと思いました。勿論、リーダーとして何か緊急な事態が起きた時に責任もって、駆け付けたいですしね。

 

ー英語がすごく好きとのことですが、いつから勉強し始めたのですか?

本格的に英語を話せるようになったのは、大学に入ってからです。英会話教室は小さい頃から通っていたので、聴く能力は養われていたと思いますが、大学入学当時は全然話せなかったです。高校時代も受験勉強で触れていたくらいだったので。

大学1年の頃から、テキストブックも講義も全部英語オンリーな授業をとって自分の英語能力を鍛えていました。また、自分でオフィスアワー (学生が英語教員や他の英語を学びたい生徒とテーマを決めて英会話を行う時間の事) にできる限り行っていました。それを頑張って1年間くらいやると、結構話せるようになりました。

▲大学1年時の時間割表(色付きの授業は英語を話す授業やプログラム)

マッチングといって、日本語を話したい留学生と英語を話したい日本人学生を繋ぐプロジェクトも積極的に企画して、みんなでよく英会話をしたりしていました。今考えると当時は週に24時間近く英語使って考えたり話す時間がありました。 

そもそもなんでここまで英語が好きなのかというのは人種や言語、そして属性を超えて繋がりを形成するためにも英語を習得する事が一番簡単かつ確実な方法だと思ったからです。だから英語を実践的に使い、文化背景の違う方々に繋がる機会を与えていきたいと思いました。

 

ーそこまでやれるのは本当にすごいです…!努力あっての今なんですね。大学生活も半分を過ぎましたが、同じように過ごす学生に一言お願いします!

与えられた環境と時間を自分なりに使い倒していくことが大事だと強く思っています。その際に『自分なりに』使い倒すためには緊急度の高い作業 (宿題 / 課題) よりも自分にとって将来的に重要度の高いワークに如何に注力出来るのかが大事だと思います。是非今大部分の方は春休みに入ったと思うので、これを機会に以下のマトリックス (※XY軸の事) に合わせて、自分にとって重要度の高いタスクを整理してみてください。

そして一旦自分にとって重要度の高いタスクを見抜いたらあとはとことんやり抜いてください。世の中の人の大部分はあと少しの部分で諦めてしまいます。『やり続ければ必ず道は開けます。』そう信じて自分も自身の一番力を入れている食品系プロジェクトVecipeを日々一生懸命取り組み、一度きりの人生だからこそ周りの意見に依存し、敷かれるレールに従うことなく、自ら考え、自分の人生の舵を常に取っています。

最後に自身が好きなAmy cuddyのTEDtalkを紹介したいと思います。そこで言われている言葉で『Fake it till you become it』という言葉があります。意味は『本当になるまで偽り続けろ』という事です。

自分自身記事で紹介した通り、元々あがり症ですぐに顔が赤くなり、人前で話すのが大の苦手でした。でも大学に入って、留学をきっかけに恥ずかしがる部分を隠し続けたら、本当に色んな団体で重要なポジションを頂いて、人前でも自信を持って考えを発信できるようになりました。(勿論、今でも少しは緊張しますが、それは責任感の表れ、頑張った証拠だと自分なりに納得するようにしています。(笑))

ここで言いたいことは、過去や今に嘘をついたら経歴詐称や現実逃避に繋がるけれど、『未来へは嘘をついていい』ということです。一度きりの大学生活、思う存分に充実した時間にしてください。(その際に、周りと比較する必要は全くありません。みんながみんな違う判断基準をもって当たり前なのですから。)

そして、あなたにとって重要なタスクが見つかったその瞬間、そのタスクを通してなりたい自分の姿を思い描き、将来に向かって嘘をつき続けてください。その『嘘』が『本当』になる瞬間まで。

VecipeのInstagram

将来についても熱く語って頂き、オンラインの画面越しにも想いがひしひしと伝わってきました。胸を張って語る彼の話は、どこか安心感があります。

「昔は人前で話すことが苦手だった」とは思えないほどの行動力と自主性を感じます。

この記事を読んくださった皆さんにはぜひ「自分は〇〇だから」と、出来ない理由を探すのではなく、行動に移す勇気を持ってほしいです。

どんなに漠然とした理想像でも、憧れでも構わないと思います。

自分から目をそらさず、向き合うための「きっかけ」になりますように。

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